こころあそびの記

日常に小さな感動を

冬の日に

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大寒さなか

 「日一日と日脚が伸びて」とか「陽光があたりに溢れ始めて」などという手紙の書き出しを知ったのは、お礼状を書かずには済まされない年齢に達してからのことでした。

 言葉から、逆に教えられることは数多くあるものです。春が近づいてきましたよ、という代わりに日の光の変化を捉えるあいさつ文もその一つです。文字を見て周りに目をやることから、自分の中の感性を目覚めさせてくれるありがたい表現です。

 文字という道具を作り出した人々には感謝です。それを手段としてあらゆる分野でこれほど利用されているものはありません。そのおかげで、こうしてブログが書けて、記録し誰かに発信できるのです。でも、進化は際限なく続くでしょうから、いつかは文字が不要になる日が来るかもしれません。それでも人類が必要だから編み出した宝物ですから、放り出すにはしばらく時間がかかるように思います。蛇足ながら、文字の出来る以前は縄を結んだ形でコミュニケーションを取ったと伝わっています。

 近頃、夕方に孫たちを公園に迎えに行くと「今日は、明るいね」と彼らから言ってくくるようになりました。まだ遊べそう・・の裏返しかもしれませんが、自分はその感性をこの歳で持っていたのだろうかと少し恥ずかしく思いながら、「本当や、日の入りが遅くなってきたんやね」と交わします。

 寒さが次第に緩んでいくのを、最初に感じるのは明るさではないでしょうか。老年になると目がかすんでくるわけで、そんな目にさえ日に日に増していく明るさには驚かされます。暗かった冬が過ぎて、確実に春が近づいていることを実感できることほどの幸せはありません。

 しかしこの時期は受験シーズンでもあります。なぜ冬なの?秋入学にしたらいいじゃないと思う方もおられるかと思いますが、冬だからいいことがあるのです。

 冬は収蔵の時、気が散らない時ともいえます。この勉学に集中できる季節を受験に当てたのもまたそう単純な話ではないと考えています。

 春は芽生えの季節だから入学式、夏は活動の季節だから海へ山へ、秋は天高くなり肺活動も盛んになるから運動会。

 先人が体験から編み出した四季に応じた過ごし方が、健康と大きな関わりをもっているのです。

 一年で一番寒いから大寒。受験生の皆さま、寒晒しで冴え切った頭で全力を出し切ってくださるように願っています。身体の保温は忘れずに。