今日はちょっと重いお話
「けったいな町医者」という映画を見てきました。
これは兵庫県尼崎市の開業医、長尾和宏先生の日常ドキュメンタリーです。
”医療は往診である“というところに辿り着いた先生の生活をカメラマンがついて回って完成させたそうです。
今週末から公開される柄本佑さん主演の「痛くない死に方」(高橋伴明監督)のプロローグと言えます。
医療の実情が嘘偽りなく描かれていて、先生、本当に大丈夫かな?とドキドキしました。
どの世界でも同じで、言えることと言えないことがあります。そこをズバッと公に言い切ることは、とんでもない勇気のいること。だから、長尾先生は勇者だと思いました。
先生も新米の頃は、当然、患者さんのいのちを救うことに懸命になるドクターでした。でも、薬付けにし、チューブ症候群になって亡くなっていく様子に疑問をもたれたのです。
医学部というヒエラルキーは山崎豊子さんが白い巨塔として題材にしたくらい、崩しようのないものです。これに物言うことは不可能な世界。流行りの“なんとか改革”からは、未だに遠い遠いところです。
だから、先生はその閉鎖的な場所を飛び出す選択をされ、一開業医としての道を歩き始められました。
詳しいことは映画を、あるいは今週末から始まる「痛くない死に方」をご覧になるとよいかと思います。
人は最期を計画することができません。「私は終活してありますから」とおっしゃっても、その通りになる方は稀でしょう。
薬局に来られる方のお顔は暗く沈んでいます。医院、或いは病院で長い間待たされた上、その間、悪い方へ考えがふくらんでクタクタの体で薬をもらいに来られるのです。
みなさん。病気は薬で治すものと信じていませんか?
病気は自分の体が日々治してくれるものであることを忘れていませんか?早い話、骨折した箇所をひっつけるのは自分の生命ではありませんか?
勿論、薬や医療に助けてもらわなければならない病もあります。
ただ、薬が治すのではない、治すのは自分であるということを是非とも心に留めていただきたいのです。
長尾先生はその在宅診療の経験から、薬にとどまらず医療の間違いを正そうと走り回っておられます。その心は患者さんと心通い合わせる医者でいたいという思いに集束するのではないでしょうか?薬や手術や検査だけで繋がるのは医療じゃないとおっしゃっているのだと推し量ります。それは、患者側も切望しているところです。
私たちは頼ることに慣れすぎてしまいました。病気になったら薬を飲めばいいわなんて。自分のいのちを自分で守るには覚悟がいることを申し添えます。