こころあそびの記

日常に小さな感動を

薬剤師という仕事

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 「7番の札をお持ちの方」と、小窓を開けて薬を渡された。そんな記憶をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
 薬剤師の仕事は、医者が処方した薬を間違いなく患者さんに投薬するということは今でも変わりはないのですが、先に書いたような単純作業から仕事の内容が様変わりしていることを御存知でしょうか。
 かつては、倉庫にこもる仕事だったので、医療の中で一番きれいな仕事といわれたものです。薬の確認、数の確認に終始する一日でした。誰とも話す必要もない孤独な仕事でした。
 ところが、今はどうでしょう。
 薬剤師を目指す人に必要な条件に、コミュニケーション能力と自動車の運転が不可欠な時代になりました。取り残されていた感の強い職種にやっと灯がともりました。
 何故、運転なの?それはお宅訪問、施設訪問に出かけるため。何故、コミュニケーション能力なの?それは患者さんだけではなく関係するすべての人々とお話するためです。
 今日も、とあるサービス付き高齢者住宅に参ります。
ドクター、ナース、ヘルパーそして薬剤師がグループになって各部屋を巡回します。
 勿論、医師が中核ですが、サポートするナースや、経過報告をするヘルパーに加わり、薬のアドバイザーとして同行します。
 薬という物を相手にしておればよかった時代から、人とお話する仕事へシフトしています。
 ご高齢の方の生きてこられた道程を聞くことが楽しいというくらいの人が求められます。仕事の範疇から外れるかもしれませんが、そうでないと相手の気持ちを読み取ることはできないように思うのです。
 出発の季節です。これからこの道を目指そうとされる方には是非知っておいていただきたいと記しました。
 薬ではない薬があることを知っている人になってほしいと思っています。