こころあそびの記

日常に小さな感動を

春雷

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 夜来の春雷と雨風が止んで、何事もなかったような静かな朝です。
 春は美しく柔らかというイメージですが、昨晩のようなことがあると人間の観察を統計学として作り上げた古代の人々に否応なく思いを馳せてしまいます。
 やれ温暖化だ、自然破壊だと地上で騒いでいますが、天の循環はその昔から変わりがないことに驚かされます。「天行健なり」。なにがあろうと、その巡りは健やかです。おかげで、地球上の自然は保たれ、私達は生きていくことができます。ありがたいことだと思わずにはいられません。
 ところで、五行では春の象徴は「木」です。樹木が新芽を伸ばして風に吹かれてゆらゆら揺れている様子です。
 易学では、その揺れる姿から「震」(震える)という字を当てました。大気を揺らす「風」は、冷たい空気と温かい空気に大きな渦巻きを作らせて雷鳴を轟かせます。風が雲を呼び、龍がその雨風に応えて昇っていく様子は、寺院の天井画に火除けとして描かれています。稲光の中を駆け上がる龍は春の勢いと生命力を表しているのでしょうか。
 雪が解けて春になる。冬の寒さで固まっていたものが、太陽の高度が上がるにつれて温められ解けて柔らかくなって動き出します。大空さえ震わして皆を怖がらせた春雷も冬終いが完了したしるしだと思えば、春がスタートする喜びに結びつきます。
 春は震える。いつも動いている。だから、春生まれの人は、短気でせっかちという一面を持つというのは、なんだか春うららとはかけ離れていて面白いなぁと思います。
 料理人はその素養がいると三國シェフがおっしゃってました。買い出しに始まって下準備、提供する順番を考え調理、後片付けとくるくる動き回る仕事ですから、なるほどと納得できます。
 私も実は春生まれのお料理好き。さぁ、今晩の献立は何にしようかな。