こころあそびの記

日常に小さな感動を

風味

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 朝刊に「風味はお日様の匂い」と書いておられた方があったので、今日は「味」のお話です。
 春は肝が旺盛になる季節です。その肝を助ける味は「酸味」です。春は風の季節でもあるので、象徴である木々は風に吹かれてゆらゆら揺れます。
 冬の間、固く閉ざされていた扉が開かれて、春はだれでもふわぁ~と発散する気分になりがちです。
 せっかくの春なのに、なぜかボーっと蒸せたようなふらつきを感じる人もおられるのではないでしょうか。
 そこで、古来から「酸味」というキュッと引き締める味が春の発散しすぎた気分をまとめる味とされてきました。だから、春のお祭りにはなぜかちらし寿司を作りたくなるのです。
 でも、だからといって酸味の取りすぎは、春に見られる五月病などうつ傾向の人にはよろしくない味ですから注意を要します。収斂が過ぎて、より内に籠もってしまいます。
 中国の養生大家、孫思邈は、春は甘味を養生食にするように言ってます。ちなみに酸味と甘味は相克の関係です。酸味をとりすぎると胃を傷めるといわれます。その胃を守るのが甘味です。
 甘味は、一服しようというときに欠かせない味です。気分を緩める味。お花見団子に桜餅、柏餅はこの時期の気分に効くから伝承されてきたのですね。
 さて、「風味」という日本人が大好きな味があります。この微妙な感覚を“お日様の味”と表現された朝刊の主にやわらかさを感じました。
 NHK「子ども電話相談」の人気講師、田中修先生の近著、「かぐわしき植物たちの秘密」で、この事が書かれています。
 「ピーマンはなぜ苦いか」。ピーマンの香りと、含まれる渋み成分とが合わさって、苦味成分は含まれていないのに苦味を感じるそうです。。鼻から感じる香りや匂いは味わいに大きな影響があるとおっしゃっています。鼻づまりの日は、何を食べても美味しく感じないのはそういう原理だったのです。
 幼児が嫌いな代表的なピーマン。よく母に「鼻つまんで、食べてしまいなさい」といわれたものです。実は、そんな子供の嗅覚は鋭いといえるのかもしれません。