こころあそびの記

日常に小さな感動を

花ちゃん

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 わたし、花ちゃんっていうの。
 6歳のパグ犬です。
 春になって、ようやくガレージに出てきたの。
 冬の間は父さんが外に出してくれないのよ。よくお家の中ばかりじゃつまらないのでは?なんて聞かれるけれど、私はそんなことはどうでもいいのよね。まったり暮らすのも性に合っている感じ。
 この数日、二十度越えの日が続いたのでお許しが出たってわけ。ひさしぶりのガレージデビューで道行く人がみんな待ってました!とばかりに「かわいい!」って撫でていくけど、どうして? わたしは顔で勝負する方じゃないのよね。どうして、みんなが喜んでくれるのかさっばりわからないの。でも、それでみんなのお顔が輝くならそれもよしとしましょう。
 この性格は、父さん似って言われているの。彼はね、お耳がちょっと遠くて、足も少し不自由だから、動きはゆっくりしているの。生まれたときから彼と一緒に行動している私もゆっくりノンビリの娘に育ってしまったというわけ。歩き方はもちろん”どすこい型“よ(笑)
 飼い主に似るというパターンですね。
 散歩の時は、苦虫噛み潰したみたいな表情の父さんがコツンコツンと杖をつきながらゆっくり歩くの。それで、みんながおっかながって私たちのこと遠巻きにして、小さい声でかわいいって言って通り過ぎていくのよ。本当は撫でたいんだろうなぁと感じてはいるけど、わざわざどうぞとも言えないし・・・
 そんな怖そうな父さんはね、本当はとても優しい心の持ち主なんです。
 今、私のベッドの上にツバメが巣作りしていて、毎日出たり入ったり忙しそうに子育て中。父さんはその下にウンチ受けの紙を貼って、毎日取り替えてくれるんだよ。すごくない?
 道に落ちているゴミも散歩のついでに拾うんだ。人知れず小さな社会貢献をする父さんは素敵だなぁ。
 ああ見えて、お友達だっているんだよ。この前、ペタンと手を突いて転けたので、お医者さんに行ったらしい。帰りに寄った薬局で「花ちゃんのお父さんですよね」と取り囲まれて大受けしたんだって。
 わたしと父さんは二人でワンセットだね。
 私はそんな父さんが大好きだから、いつもドアの方をじっと見つめて、出てくるのを今か今かと待ってるの。道行く人にはお尻向けててごめんなさい。
 私はこんな父さんと過ごせる毎日が幸せでたまりません~🌼