こころあそびの記

日常に小さな感動を

小青竜湯

f:id:snowrumirumi:20210403182900j:plain


 その昔はなかった病名で、今はポピュラーになったものに「花粉症」があります。
 鼻だって、目だって勝手に侵入してきた異物は追い出すのが使命なんだから、それを遂行して水洟や涙で追い出している状態に病名を付けたら、自ら病気に降参、白旗揚げたことになっちゃうよ。と言ってた頃と今とは、春霞の正体の種類も量も明らかに増えていることは悲しいかな事実のようです。
 抗アレルギー薬も出尽くして、市場は落ち着いています。
 中には漢方薬の宣伝を見て、西洋薬から「小青竜湯」に変更する人も散見しますが、飲み続ける薬ではないということだけは知っておいて欲しいと思います。鼻水が滝のように流れるなどピンチの救済策として使う薬です。
 ところで、漢方薬の名前って面白くないですか?
 「葛根湯」なら成分に葛根が入っていると想像できますが、「小青竜湯」はどんな意味があるのか考えてみたことありますか?
 これは、五行をご存知の方には簡単なのですが、東西南北をそれぞれ守護している聖獣がいます。東方は青竜、南方は朱雀、西方は白虎、北方が玄武です。
 奈良のキトラ古墳などに行かれると、天井の四方に描かれているのをご覧になった方もおられることでしょう。
 そうなんです。「小青竜湯」は春の青竜。春は三寒四温。身体が冷えて鼻水が出やすい季節です。
 肺が冷えて鼻水が出る。その治療として肺を温めて、溜まった水を散らす働きを持っているのが「小青竜湯」です。鼻柱にホットタオルを当てて温めてあげるのと原理は同じです。
 肺の働きは、西洋医学的には、酸素を吸って二酸化炭素を排出し、心臓に新鮮血を送って全身へというふうに習います。
 しかし、中医学では①呼吸を司る②気を司る③宣散粛降④皮毛に合す⑤鼻に開きょうする、なとなど。多機能を持つ大切な器官です。
 中でも、水と気を全身に配ることは注目されます。   今、COVID-19で肺が侵されることを、どのように捉えるかが課題になっています。
 気が配れないことで全身に倦怠感が出たり、味がわからなくなったりします。水が配れなくて肺に溜まれば肺炎も起こるでしょう。
 予防策として、日頃から気が少ない人は気を補充しておくこと(黄耆などが主薬)もよいかもしれません。
 でも、かかるかもしれないという心配をするより、今日一日を大切に生きることのほうが病気を退散させる力になりそうに思いませんか。
 ストレスなんて言葉を吹き飛ばして、キラキラ輝いている人が好きです。