こころあそびの記

日常に小さな感動を

雲をつかむ話

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 雨上がりの今朝の空。太陽を背に受けた雲が幾重にも重なって美しい西洋画を見ている気分でした。
 雲はクラウド。近頃その存在感を高めています。
 クラウドファンディングも盛んですし、One Driveのイメージも雲形です。
 何のことかと思ったら、NHK「テレビで中国語」の教本にエッセイを書かれている加藤徹先生の「クラウドはデータベースです」という言葉で、ようやくその意味を知ったところです。
 昔は「雲をつかむような」といえば、不確かなことでしたが、今はこの雲(クラウド)からどんな情報も仕入れることができてしまいます。物忘れの多くなった老人にとっても、ありがたい雲です。
 しかし、今の子供達が鉛筆でアウトプットしないで、指先タッチで済ませてしまう勉強が果たして身につくのかという心配をされる方があることも確かです。
 漢方薬でいえば、○○薬と調べて~に効くと覚えることに終始して、そのベースとなる中哲学にまで踏み込んでいないのではないかということでしょう。
 私達世代はその前の世代に比べると、学習したことは薄っぺらだったことは否めません。思考の浅いことは認めます。それでも、一人一人個性を発揮して生きてきました。
 長く観察してきて思うに、思考のベースは生まれてきてから身につける分量よりも、持って生まれたものの分量の方が勝るのではないかということです。自分の中にあるデータベースを元に、雲の上のデータを引っ張り出しているのではないでしょうか。
 それこそ、空の上から欲しい情報を取るのは持ち前の感性ともいえます。欲しいと思うから取り出すのであって、それが人によって違うことが面白く、多様性ある社会を作っています。
 だから、雲だけつかんで中身のない人になりはしないかという不安はいらないのではないでしょうか。雲が掴める時代になったのだと思いたいです。