北の国は別として、関西ではそろそろヒーターをしまおうかなという気分の時にやってきた”寒のもどり“です。
「寒のもどりすぎ!」と言い放った人が居て、思わず「座布団一枚!」と返してしまいました。
中医学では「春捂秋冻」という養生の言葉があります。春になったからといって、直ぐに薄着にせず気温が安定するまでは徐々に脱ぐこと。反対に秋には薄着で寒さに体を慣らしていくという教えです。
病気はこの春秋の季節の変わり目に起こりやすいから、特に体温調整には気をつけてという戒めでしょう。
昨日からの寒さに翻弄されないように、皆様、衣服でうまく体温を保ち養生につとめましょう。
春の寒さを表す言葉に「余寒」があります。お手紙のご挨拶にも使われる優しい表現です。
貝原益軒の『養生法』にもその対処法が書かれています。
「春は陽気がめぐり、冬の間堅く閉じていた皮膚が緩みます。そんなとき、余寒が来ると皮膚の防衛が追っ付かなくなって風邪をひいてしまいます。
つつしんで、春の寒風に当たらないようにしなければなりません。
草木も遅霜で傷みます。その姿から学び、人も余寒に注意いたしましょう。
そして、春本番に向けて、体を動かして陽気を巡らし気を充実させましょう」(要約)
植物が厳冬期に傷まず、遅霜で被害を受けるのはなぜでしょう。それは、冬はしっかり閉塞している細胞が、春になって開き始めたために、寒さをまともに受けてしまうからです。
私達の体は自然のサイクルに合わせて、本人は気づきもしていないのに四季それぞれの仕様に変化しています。
「ご主人様、私、働いてますよ」と気づかせるために、たまにはこんな寒さがやってきてもいいかもしれません。