こころあそびの記

日常に小さな感動を

谷雨

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 二十四節気の六番目、「穀雨」に入りました。春もいよいよこれでおしまい。今日、天はそのことを「夏日」で示しました。季節は健在であります。
 穀雨という字から分かるように、この時期の雨は田圃の苗の準備や作物の植え付けに、大切な滋潤という恵みをもたらしてくれます。
 中国では「こくう」を「谷雨」と書き表します。
 山は仙人が住むところ。谷は俗人が住むところ。
 そういう意味で、人の住む谷に流れ込んできて生活を潤してくれるのを「谷雨」としたのでしょう。
 また、老子に「谷神は死せず、これを玄牝という」とありますから、中国では古代から谷がすべてのものを生むところというふうに表現されてきたことがわかります。「谷」一字とっても中国の漢字文化の奥深さを感じます。漢字を作った民族だから当然とはいえです。
 天のめぐりは健やかなり。
 気持ちよく晴れ上がる日ばかりが続くと枯れていくし、雨ばかり続くと鬱陶しくなります。人は天の巡行に合わせて陰陽を上手くバランスしなくてはなりません。
 それを表す言葉が中庸です。
 近頃は陰陽どちらかに傾いている状況が増えているように思うことがあります。それは科学の子の特徴かもしれません。
 1+1=2が絶対正解ではないことがコロナが証明しようとしています。そんな時代に健やかに過ごすコツは、周りの人や自然に目を向けること、ただそれだけで息苦しさはうんと減るように思います。
 今朝も見つけました!
 お大師の祠の上に枝をのばしているイチョウに花が咲いていました。そして、今日21日はお大師さまの命日。小さな祠を飾り付けていらっしゃる方を見かけて、ありがとうございますと挨拶を交わせたこと。それだけで胸がいっぱいになるのは年をとったせいでしょうか。