こころあそびの記

日常に小さな感動を

みかんの花

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 今一番の香りはみかんです。歩けば、爽やかな香りがあちらこちらから匂ってきます。
 毎年楽しみにしている香りは、やがて大きな夏みかんになるちょっと大きめの花(写真)です。まだ、2つ3つしか開いていないのに、風下に立って香りに包まれると安らぐことこの上ありません。
 
 『みかんの花が咲く丘』

「みかんの花が咲いている
 思い出の道 丘の道
 はるかに見える 青い海
 お船が遠く かすんでる」
 
 小学生の時、バス遠足の行き帰りに必ずこの3拍子に合わせて指遊びをしたものです。
 1946年に生まれた歌。戦後のどさくさの中で育つ子供たちに託す夢はこの平和な風景だったように思えます。
 明日、休校になるかもしれない不確かな日々を逞しくがんばる今の子供たちにも、こんな光景をプレゼントしてやりたいと心底願います。
 
 三番は、
「いつか来た丘 母さんと
 一緒にながめた あの島よ 
 今日も一人で 見ていると
 やさしい母さん 思われる」

 明日は母の日。花屋さんの前にずらっと車が並んでいました。みんな同じ思いで順番を待っておられるのですね。その気持ちはすでに届いていますよ。きっときっと。
 二、三日前、ラジオから流れてきた川柳がちょっと面白かったので、うろ覚えのまま披露します。
 「卒寿の人 お母さんと 呼んでいる」
 投稿者は入院中で、隣のベッドの九十代の女性が小さい声でお母さんと呼んでいた、というものでした。
 この句の感想を求められたアナウンサーの40歳代と思しき男性は「お母さんを懐かしく思って呼んでおられたのでしょうね」と応えられました。
 そうじゃないのでは、と私は思いました。もう残された時間のない人には、お母さんが迎えに来てくれているのが見えたのだと思います。あるいは、もう迎えに来てちょうだいと懇願されていたのかもしれません。
 そんなのへんかもしれませんが、その時はそんな感想を持ちました。
 いのち長らえると、自分で出来ないことが増えたり、周りに迷惑かけたりと大変なことも多いですが、若い時とは違う見方や味わい方を享受できることが幸せです。