こころあそびの記

日常に小さな感動を

丹精

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 「丹精」赤い色と気の集合。いのちそのものを表す美しい言葉であり、真心という丹精を込められる人を尊敬します。
 そんなに広くない菜園を何一つ気を抜かず、隅から隅まで少量、多品種でお世話されている方があります。
 イチゴは畝を高くして、防虫網をかけてありますから、寄ってくる蝶々は、あら?残念でした。
 玉ねぎが丸々太って、しかも兄弟がみな同じ大きさなんです。
 エンドウ豆はあと数日で収穫されてしまうかな。見事に鈴なりです。
 芋の苗は植えっぱなしではなく、藁をかけてあります。
 この人に育てられる植物は幸せだろうなと、通る度にご主人に心の中でお礼申し上げています。
 さて、何が起こってもビックリしないご時世ですが、とあるニュースを聞いたときには、さすがに悲しくなりました。みんな、どうしたの?
 それは、池江璃花子さんに、代表辞退と五輪反対をあなたから意見してほしいというメッセージが多数寄せられたという一件です。
 『荘子』の大意を福永光司先生が訳された言葉があります。
 「あらゆる境遇を自己に与えられた境遇として逞しく肯定してゆくところに真の自由がある」
 私の座右の銘です。
 辛かった自分をこの言葉がどれほど励ましてくれたでしょう。辛いけど、そこに埋もれず逃げずに肯定する逞しさが人生を一歩前に進めてくれます。
 池江璃花子さんも、これを体験されたはず。
 苦しいところからようやく光を見いだそうとしている、が、まだまだ油断できない。何とか強い自分を手探りされているところではないでしょうか。
 そんな人になんということを。
 コロナという境遇をみんなで受け止めましょう。
 『荘子』に「失敗しても後悔せず、成功しても得意がらない」とあります。
 池江さんもそのようにおっしゃっています。五輪に向けて頑張っているし、ないとなれば次を目指すだけと。
 応援団は、開催が叶って、みんなの勇気が爆発できることを祈るだけです。
 そして、選手だけではなく、誰も知らないところで懸命に準備なさっておられる人がいることも時には思いを致してみては如何でしょう。