こころあそびの記

日常に小さな感動を

茗荷の甘酢漬け

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 この時期になると多くなる愁訴に、頭が重い、膝や腰が痛い、めまいがする、胃腸の不調に食欲不振などがあります。
 これらは、原因を一つに集約することができます。
 梅雨ということから推測がつくかもしれませんが、犯人は「水」なのです。一にも二にも「水」を捌くことに工夫を凝らしたいものです。
 湿度が高くなると、皮膚からの水の蒸散が思うようにいきません。結果として、水が体に溜まりやすくなります。溜まった水は、体のどこかに滞って悪さをします。
 だから、梅雨という季節を上手に過ごすにはちょっとした知恵が必要です。
 まずは、水を摂りすぎないこと。収支を考えて少しずつ飲むとか、水を溜める甘いものを摂りすぎないということを頭の片隅に置いておきましょう。
 次に、水が溜まれば、体は冷えます。梅雨寒という言葉もあるくらいです。自覚がなくても、冷えていると考えて行動いたしましょう。
 そのためには、冷たいものを避ける、もちろん冷えたビールのがぶ飲みも控えましょう。
 レストランで氷の浮かんだ水が出てくるのは日本だけだと聞かれたことありませんか。東南アジアでも、ホットドリンクを召し上がっています。体を守る方法を知ってのことなのです。
 また、口当たりのよい冷たい食事を続けるのも、お腹を冷やしますから気をつけたいところです。
 水を捌く方法には、以上のような取り入れ方以外に、もう一つ妙案があります。
 それが、香りを利用することです。
 水は独りでは動けません。誰かがリードしてくれるから動けます。その助け人は「気」です。気がないと、私達が動けないのと同じで、水も気に乗せてもらって動き出します。
 『素問』に「怒れば気上がり、喜べば気緩む。悲しめば気消え、恐るれば気下る。寒すれば気収まり、熱すれば気泄るる。鬱すれば気乱れ、労すれば気耗し、思えば気結ばるる」とあります。気がいかに体と心を動かしているかが納得できる一文です。
 そして、その大切な気を動かす助けになるのが「香り」というわけです。
 この時期、茗荷、紫蘇、生姜、ラッキョウ、セロリなとなど香り高い旬のものが並びます。
 たまたま、並んだのではないのです。この季節を乗り切るために必要だから自然から提供されたものです。うまく、使いましょう。
 紫蘇は、あの芳香で気を巡らしますから、理気剤として漢方薬にも入る生薬です。子アジ、鳥胸肉、豚肉などのしそ巻きをメニューに加えてみてはいかがでしょう。
 それから、「夏風邪」。一名、お腹の風邪といわれるように吐き下しや食欲不振が主症状です。
 これも、梅雨と同じ対処法です。水を捌けば治ります。
 この時、威力を発揮するのは「藿香正気散」です。主薬の藿香は、お香にも使われている芳香性健胃薬です。アロマを勉強されている方にはパチュリという名前でお馴染みのことでしょう。
 この香りはリラクゼーションの働きを持ちます。そういえば、私も一時、部屋に藿香を置いていたことがあります。落ち着く香りです。
 たまに、お香を燻らすのもよろしいし、薬が必要であれば「藿香正気散」(かっこうしょうきさん)、または「勝湿顆粒」を常備されるとお役に立つかもしれません。
 ちなみに、茎茗荷を見つけたので甘酢漬けにしてみました。(写真)
 皆様、元気に長い梅雨を乗り越えましょう。