こころあそびの記

日常に小さな感動を

助け合い

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 朝刊に、“素数ゼミ”という見出しがあったので、てっきり予備校の話かと思いまして、読むでもなく読み始めましたら、アメリカで発生する”蝉“のお話でした。
 蝉には土から出てくる周期がある。蝉時雨が一段とうるさい当たり年があると聞いたことがあります。
 “素数ゼミ”は13とか17という素数の年周期で発生する蝉であり、それぞれ13年に一回、17年に一回というように重なることはありません。ところが、12とか18という年周期蝉は、12と18の最小公倍数の36年に両方が同時に発生して交雑するといつか途絶えるそうで、それが自然の厳しい掟です。
 日常生活の中で、混ぜれば混ぜるほど、色にしろ、味にしろ、訳の分からないものになるという現象は経験しますから、自然の法則には何か明らかにはできないけれど、一本筋が通っているのかもしれません。

 虫で思い出したのが、上の写真です。10日ほど前に見つけた、ハナムグリ(花潜り)。ハナムグリは花に潜って、花粉や花の蜜を食べるそうです。
 体中に花粉をつけて夢中でお食事している姿がちょっと可愛らしく思いませんか。健気に花粉を運ぶお仕事を全うしていますが、本人はそれと知っているのかな?それもまた自然の不可思議な仕組み。
 世界中の生物は、こんな小さな虫でさえ、知らずして何かの役目が課せられていることを再発見したことでした。


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 さて、このハナムグリが乗っかっている花が、金銀花。スイカズラ、忍冬ともいいます。
 花は咲き始めは白く、やがて黄色になってくるので金銀花と呼ばれます。蜜があるから吸い葛(スイカズラ)、冬でも枯れないから忍冬というそうです。
 今、まさによく見れば、あちこちの路傍に咲いています。昨日も車が信号待ちした時に、ふと窓の外を見たら元気に咲いていました。
 金銀花は清熱解毒作用がある生薬です。
 風邪薬のコマーシャルで「あなたは、どちらの風邪?」と流れているのを聞いたことはないですか?
 ぞくぞくするタイプの風邪は葛根湯で温めます。
 反対に、温病といって、のどが腫れたり、熱が出たりする風邪もありますね。そのタイプの風邪薬には金銀花が入った銀翹散を使います。
 道ばたの花が私達の目を癒やし体まで助けてくれるなんて。
 生物の助け合いが溢れてるこの世界は意外に素敵なところだとは思いませんか。