こころあそびの記

日常に小さな感動を

心と体を潤す甘味

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 甘いものが大好きという若いシングルマザーの話を聞きました。なんでも、コーヒー1杯にスティックシュガーを5本以上も入れても平気だというのです。
 身体はスリム。浮腫むこともないらしいのですが、排便は下痢便と軟便を繰り返しているといいます。
 水を取りすぎたら身体に水が溜まることは、いつかお話した通りです。
 でも、甘味も身体に水を溜めることは、意外にご存知ないのではと拝察します。
 熱中症の時に飲む経口補水液を作ろうとすれば、どれほどの砂糖を必要とするかご存知ですか?砂糖が体に水を運び込んでくれるから多量に入れるのです。
 つまり、ご相談の彼女は、甘味の摂りすぎで明らかに腸内に水が溜まっています。(ストレスとの関係はまた次の機会に)
 腎臓で捌ける水量を超えてしまっています。
 溜まった水を排水が追いつかないのは、胃と相克関係にある腎がオーバーワーク気味に陥っているともいえます。
 その腎を養う味は鹹味です。
 調味は二味調和、三味調和といくつかの味を足し算してバランスをとります。
 例えば、寿司酢や、生姜漬けなどに使う甘酢は、酸味と甘味と鹹味の三つで絶妙な味を仕上げます。
 おぜんざいの小豆は砂糖に塩を少し入れて炊き上げます。そして、いただくときは塩昆布を添えます。
 これらは、甘味を捌くためには腎を助けるために鹹味を足すという、昔の人の知恵です。
 科学の力は分析力で人を説得します。片や、中医学では経験と観察を積み重ねた結果たどり着いた理論です。
 味があなたの体のバランスを良くも悪くもします。
 私の次男は食の細い赤ん坊でした。
 昔、心斎橋近くの三休橋に「中島小児科」という、私自身もお世話になった古い小児科病院がありました。
 息子を診てもらったとき、「お母さん、おにぎりだけ食べてたら大丈夫です」といわれたことがあります。
 これは、今から考えるとお米という甘味と塩味で、最高のバランス食だったのですね。
 湿度の高い今の季節に大切なことは、水分補給をほどほどにすることと、甘味をとりすぎないこと、鹹味(海水からとった塩)を忘れず添えること。
 水はけに気をつけて過ごしましょう。