こころあそびの記

日常に小さな感動を

涙が溶かすもの

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 一本一本、植えつけられたらときには、あんなに儚げに見えた苗が、みるみる逞しい株に成長していきます。
 それを毎朝楽しみにしています。
 先日、通りがかった家庭菜園で「今からは豆やで。田植えが終わったら畦に撒くんや」とアドバイスされていたのを小耳に挟んで、そうやったそうやったと頷きました。丹波の黒豆もこうやって育てると聞いています。
 今朝、田んぼを取り巻く畦に黒いビニールシートを敷いて、うまい具合に水を引いておられる光景に出合いました。
 よく見ると、ビニールシートには等間隔に穴が開けられています。「これや!」と思いました。ここに豆を蒔いておくのですね。
 田んぼの畦に植え付ける理由があります。豆は空気中の窒素を根粒菌に取り込んで、それを稲の栄養にしてあげるのだそうです。
 自然は言われなくても共生しています。長い長い進化の果てにこんな助け合いを成立させました。 
 一方、コロナ禍が長引いて、人間はすっかり元気をなくしています。
 例えば、痛み。普通は感じない疼痛を、敏感に感じてしまう人が多くなっています。別段の根本原因がなくても、なぜか痛みが治まらないというのです。
 人はストレスがかかると我慢の限界が緩みます。ちょっとしたことが、とてもつらいことに思えるようになってしまいます。
 その痛みも不眠も胃腸の不調もストレスかもしれません。我慢の限界線が甘くなってはいませんか?
 人それぞれに事情が違うので一概に、こうすればという特効薬はありません。
 もうだめと限界を感じた証拠は表情筋に表れるように思います。笑わない、固い表情、暗い雰囲気。周りにそんな方はいませんか。
 そんな時は、緩め合いをいたしましょう。
 でも、自分を助けられるのは自分しかいないという原則は忘れないで下さい。どうしてあげたら自分が復活できるか、自然の姿を見習うことが手助けになることもありますよ。
 今、目の前にあることだけに目を奪われないで、広い空を見上げてみましょう。
 桑原征平さんが、ラジオで松山千春さんの「大空と大地の中で」のフレーズ「野に咲く花ならば命のかぎり生きてやれ」に泣いてしまうとおっしゃっていましたが、まさに、今、一億総うつに陥りかねない日々にあって、このフレーズに泣ける人が蘇られる人だと思います。
 泣いて心を溶かしましょう。