こころあそびの記

日常に小さな感動を

ほどける蕾

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 朝から、娘が涙を拭いながら何かを読んでいます。
 「感動するわ」
 「何に?」 
 「みんな、すごい!」
 塾が発行した『合格体験談』でした。
 この春に高校受験を経験した中学生は、昨年発生したコロナを乗り越えた子供たちです。ハプニングに流されず、自分を見失わずに、目標校に合格したことはそれだけで偉業だと思います。
 こっそり盗み読みさせてもらいながら、親の協力、先生の応援、そして自分を信じることの三拍子が整っていることに感心しました。
 もちろん、そんな恵まれた家庭ばかりでないことはわかった上で、15歳の春を見事に勝ち取った経験は一人一人にとって人生の大きな礎になるはずと拍手を贈ります。
 なかでも、受験生活が、たくさんの子どもに自分を信じる力がついたと実感させたことは大きなことです。
 地に足着けて生きるためには、自分を信じることが何より大切です。自己肯定感が前進力になると叫ばれるようになりました。
 青春は自分の居場所が定まらず孤独に陥る時期です。自分の心が落ち着くところが分からなくなって浮遊します。安らぎがほしくて手当たり次第に辺りを探し回っているけど分からない。
 井上陽水さんの「探し物はなんですか」は、これを上手く言い当てた歌です。
 本当に頼るべきは自分だと分かるのはいつの頃でしょう。だから、一生懸命にやったらできた!という経験は、自分を信じる第一歩です。
 生きる力をつけることが教育に盛り込まれたのは三十年前。私の子供たちが小学生の頃でした。ですから、当時と比べてもその要領は相当熟してきているようです。でも、教科の問題に生きる知恵を盛り込もうとするから、難解な問題が多くなります。痛し痒しです。
 過去には、生きる力を含めた総合問題を別枠で試した学校もあったと聞きます。子供の可能性と生きる力は試験ではわかりません。すべての若いいのちが輝く社会でありますようにと願います。
 それには、老人も部外者ではありません。みんなで応援いたしましょう。
 後には、コロナ世代と呼ばれる子供たち。いつか、尋常でない青春を生きた証として、科学や社会システムにこの経験から学んだことを生かす人が出てくるように期待しています。