仕事が急遽、昼からになったので、午前中に『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~ 』のラスト三話を駆け足で観ました。
大雨が屋根を打つ音も耳に入らず、ドキドキした時間を過ごしてしまいました。
このドラマを見始めた時には、大人数の出演者の人間関係がわからないし、字幕を読んでいるうちに画面が先に進むから俳優さんのお顔も覚えられなくて、何度も挫折しそうになりました。
それでも、最後まで観ることができたのは、大形先生の授業で中国に触れさせてもらったおかげだと思っています。
この年齢まで、日本の歴史にさえ興味なく、ましてや中国の歴史なんて全くのよそ事でした。年代も国も地理も知らなかった私に、案内書を授けてもらいました。齧ってみれば世界が広がりました。一歩踏み出すことは、楽しみを増やすと知りました。
中国ドラマの中の調度品や装束には飽きない美しさがあります。
また、書庫には竹簡が並んでいるのに、新しい記録は紙に書かれる様子からは、紙の発明がこの頃であったことがわかります。筆使いの美しさも見ものです。
現役の薬剤師としては、生薬が頼りの時代の漢方薬も楽しみです。昔の人達が健康に過ごすためにどのような気遣いをしたかという点も見所ではないでしょうか。
テーマは梁の時代の王座の争い。
他のドラマと違うところは、登場人物が殆ど男性で、恋のウエートが極端に少ないところです。
つまらないはずが、結局、成就しない恋という餌で最後まで釣られてしまいました。
人はそれぞれに感動できるツボが違うから、世の中にはストーリーが溢れています。
どんなお話がお好きですか?
私は、みんなで何かを成し遂げるというストーリーに惹かれます。肝っ玉が小さいから、壮大な話を好むのかもしれません。
今、まさに進行中のワクチンの接種に蠢く多くの人々の話や、オリンピックの開催に漕ぎ着けた人々の話は、いずれ書物や映画になることでしょう。
しかし、真実がどれほど描かれるのかは、いつの時代も藪の中でありましょう。
残念ですが、歴史に記録が残らない当事者だけが知る真実は多いはず。だからこそ、後の世の人は脚色し易いともいえます。想像の余地が残されているからです。
『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~ 』も、想像上の人物のお話です。けれども、その時代に現れるべくして現れ、時代に翻弄された一男子の苦悩と信念は本物であったと思いたいものです。
ラストシーンで、ようやく恋を匂わせます。
本懐を遂げるための戦に出発する主人公に、許嫁が「無事に帰って」と懇願します。
「縁は来世に続く」と応えるところで涙です。
こんな男子に出会ってみたかった。
贅沢な朝時間でした。