こころあそびの記

日常に小さな感動を

九州豪雨

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 明日は、轟さんの舞台を観劇する日。
 この「再会」を、首を長くして待っていました!とお手紙に書こうと思っていましたのに、朝からとんでもないニュースが報じられています。
 九州地方の豪雨です。
 彼女は去年も甚大な水害被害があった熊本県人吉市出身。人吉市の中学を卒業すると同時に宝塚音楽学校に入学したエリートです。
 その彼女が、ついに退団を決心されるに至りました。
 劇団の理事として、いつまでも永久に残ってくださるものと、ヘンな安心をしていましたことを、今になって反省しきりです。いつでも会えるという気のゆるみです。
 退団へ心変わりしたのは、たくさんの理由があったことでしょう。人は誰でも、昨日の自分と今日の自分は同じではありません。なので、彼女の決心を受け入れるしかありません。
 ただ、去年の豪雨で増水した球磨川の映像を、遠く離れた宝塚でご覧になった時のショックは想像に難くありません。故郷の見慣れた人吉の町が流されていく悲惨なありさまを、ただただ見ていることしかできないことに大きなショックを受けられたことでしょう。
 直ぐにでも、飛んで帰りたいのが一人娘の心情だったはずです。
 なのに、コロナはその行動を許してはくれませんでした。まして、舞台人という制約があります。

 昨日から始まったサヨナラ公演をどんな気持ちで演じ終えられたことか。あるいは、今朝からの舞台を平常心で演じることができたのだろうか。
 もちろんプロ意識の高い方ですから、そんな私的なことは、欠片もお見せにならなかったことでしょう。それでも彼女の心情をいろいろ考えると、明日は、涙の滲む観劇になりそうです。一緒に観劇するすべてのファンの心はその一点で結びあい、熱い気持ちが劇場内に満ちること必定です。
 天の神様、どうか雨を上がらせてください。
 九州地方の皆様のご無事を心からお祈り申し上げます。


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 彼女のファンクラブに入会したのは、同僚の勧めがあったから。つまりは、その同僚と出会っていなかったら、轟さんと深い関係?も持ち得なかったわけで、人の縁とは不思議なものです。
 あれから、もうかれこれ20年以上が経ちます。
 子育てが一段落したとはいえ、その無味乾燥な中年時代を轟さんのパワーをもらって過ごせたことは、偏に有り難いことでした。
 人生は仕事が山積みでも大変ですが、空の巣になっても潰れるものです。その空洞を絶妙なタイミングで埋めてくださったことに感謝しかありません。
 そして、副産物は鍵っ子にせざるを得なかった娘の孤独感をも癒やしてくださったことです。学校から帰ってきたら、直ぐに轟さんのビデオを観て過ごしたおかげで、今でも、どの出し物の歌でも上手に歌って、私を喜ばせてくれます。
 誰かを本気で応援するのがこんなに楽しいことと教えてもらいました。
 
 母も女学校時代に宝塚に日参した人なので、一緒に行かない?と誘ってみたことがあります。答えは「No!」でした。
 本当に入魂したら、燃え尽きるものだということを、今の自分は理解できます。
 劇団には申し訳ありませんが、轟さんと一緒に宝塚を卒業することをお許しください。
 轟さんの舞台に大興奮した自分にはもう戻ることはできないと思うからです。
 明日も入れて、あと4回の時空の共有。泣きながら、最後の応援をしたいと思います。