こころあそびの記

日常に小さな感動を

色に感じて

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 かわいい!と目が止まったのは昼顔でした。夏の花はどれも太陽に負けない強い色なのに、なんと優しげな佇まいなのでしょう。
 見つけたのは空き地。その地面に這うようにパラパラ咲く様子にキュンとなりました。
 
 先の梅雨に咲く花は白い色でした。泰山木もクチナシドクダミも。白はどんよりした空気の中でも、しっかり存在を際立たせることが出来る色です。
 
 季節のイメージに合わせ、見る者の気持ちまで考えて彩色することは、能力を越えた力です。自然の造形には驚かされることばかりです。
 毎日出会う小さな自然に気を止めることが、生きる喜びを深くする事に繋がるように思います。自然を愛でる力のある人は生きる力がある人といえるのではないでしょうか。


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 そして、夏本番になりました。夏を謳歌する力強い向日葵の強烈な黄色。最高の暖色をもって暑さを盛り上げます。
 畑の隅っこに向日葵が一畝植えられていました。お世話なさっていた方に伺ったところ、どこかに出荷するのではなく、季節を感じるために咲かせているとお応えになりました。通りすがりの人達にも見てほしいと。
 そんな優しい心を知ってか知らずか、どの花もみんなお日様の方に顔を向けています。個性的な色からすれば、もっと自由で良いのに、お日様向け!という号令に素直に従う可愛らしさゆえに愛される夏の代表花です。
 
 しかし、あまりに元気すぎるパワーは、悲しみも併せ持つものです。夏という陽気が最高潮に達すれば、陰気が忍び寄って、やがて陰が勝って秋に向かいます。
 映画「ひまわり」のラストシーンに使われた向日葵も圧倒的なパワーなのに切なさを感じさせます。テーマの悲しさに最も相応しいのは”ひまわり“である、という選択をされた監督は鋭い感覚の持ち主だったのですね。
 
 夏至から1ヶ月が経って、日の出が5時台になってきました。薄明という美しい時間を大切に過ごしましょう。花たちも鳥たちも目覚めてあなたを待っています。
 気になる花鳥を見つけたら、次に会うのが待ち遠しくなります。それが古から元気の秘訣です。