こころあそびの記

日常に小さな感動を

「竜とそばかすの姫」をみてきました

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 雨がひどくならないうちにと、荷物持ちの孫二人を連れて出かけました。道中で、夏休み前から観たいと言ってた「ジャングルクルーズ」に誘ってみたら、案の定、二人とも大賛成です。
 早速、発券売場へ急ぎましたら、なんと、あと三席を残すのみでした。まだ、小学生ですから、離れて座るのはイヤということで、「竜とそばかす姫」を観ることにしました。
 始まると同時にしまった!これは、小さい子供には難しいのではと気が気ではなくなりました。そういえば、入場者は大人が多かったことも頷けることでしたが、後の祭りです。
 
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 細田守監督の作品は初めてでした。
 人は百パーセントの自分を出せずにいます。何らかの理由があって「なりたい自分」になりきれずに生きていることに、少なからずフラストレーションを持っているものです。
 これまでの時代では、それがあたりまえで、その満たされない思いを如何に操縦するかも、その人の能力でした。
 ところが、ネット社会が仮想世界を提案しています。   
 そこでは、閉ざされていた自分を解放できます。歌えなかった自分が歌えるようになります。押さえていた力を思い存分発揮できるようになります。どこの誰かだか分からない、現実の自分を隠しているから可能になる自由です。
 そんなことが、本当の自由なのでしょうか。
 それは、遊びです。
 仮想世界の限界を見る思いがしました。そこは不満と悲しみの合わさったところのように見えました。
 昔は「そんなことしてたら、“子とり”に連れて行かれるよ」と親に怖がらされたものです。連れて行かれた先でいっぱい遊ばせてもらえるかと思いきや、こき使われる現実があるという話を、何故かおばあさんは連想してしまいました。

 ラストは、人間の心が救えるのは現実であることが表現されたのでホッとしました。
 どんな満たされない思いも、仮想世界で整理してみれば、現実の経験から発していることが分かります。私達は経験の積み重ねでできていますから、絡まった糸は自分でしか解けない自覚も必要でしょう。そこに絡んでいた人の思いも理解できるようになれば一回りも二回りも大きく成長できるはずです。
 自分の弱さを、仮想空間(夢世界)で確認して、逞しさへの階段を一つ上る。
 人生は毎日がその繰り返しで出来ていることを新鮮な映像と感覚で観せてもらいました。
 これからの人には、自分を包み隠さず生きられるほどのつよさに辿り着いて欲しいと思いました。