平和の祭典オリンピックが無事に終わるやいなや、飛び込んできたのは「アフガニスタン政府関係者の逃亡」でした。
平和への道のりは遥かに遠い現実がわかりました。
日本では終戦記念日に黙祷を捧げ、いかにも戦争は過去のものという感覚でいます。が、いまだに今日、この時間も銃弾に怯えて暮らさざるを得ない人がおられるとは残酷なことです。
こんな政変を見聞きすると、平和の定義さえ曖昧になってしまいます。
そこで、『WE HAVE A DREAM』という本の中から、アフガニスタンの女の子、アジーザ・ベーハムさんの言葉から拾ってみます。
「私の夢はすべての女の子が学校に通い、自分の夢を実現し、自分で決断できるような教育を受けられるようアフガニスタン全土で支援することです」
イスラム教社会では一夫多妻と、女性は家にという規定が今も続いているため、女性の識字率は20%といいます。
この現状を教育から変えたいと、銃弾にも負けず立ち上がった女の子がノーベル平和賞受賞したマララ・コスフザイさんです。彼女はアフガニスタンの隣国パキスタンの人です。
彼女も、女性が教育を受ける権利を訴えて、
「ひとりの子ども ひとりの教師 一冊の本 そして一本のペンが世界を変える」という言葉を記しています。
女性に生まれて、多くの困難を我慢するということだけしか経験できないなら、心荒ぶばかりの日々であろうとの想像は難くありません。
平和とは、まず、教育なのだと彼女たちは訴えています。
本が手に入ること、字が読めること、言いたいことが言える環境。心を変え、国を変えるのは教育だけだと、食べるものよりも優先していることに、その悲惨な状況が見えるようです。
学校に行くことが当然の権利で、今やその選択さえ自由になってきている日本からは考えられないことのように思えます。
お盆休みに、海部陽介著『日本人はどこから来たのか?』を読みました。
5万年前に故郷アフリカを出て、移動を始めたホモサピエンス。
知識を持たず感覚を頼りに、ある場所で留まる者、もっと東に移動を続ける者と、世界に分布していった祖先。
今、国だ民族だと線引きをしているのは仮の姿です。
「人類史を学んで、他の人々を尊重する空気が国際的に醸成されることを願っている」と海部陽介さんはおっしゃっています。
せっかく、オリンピックで200か国以上の国と地域が集まって祭典ができたのに、世界にはまだ戦争をしているところがあるという現実が悲しいです。
平和は教育からという重みをかみしめて、心の教育が行き届く日が来ることを祈り続けたいと思います。