こころあそびの記

日常に小さな感動を

ラストスペシャルショー

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 常盤貴子さんが、30年ぶりにトヨエツに会った感じというか、ずっと昔に好きだった人に再会する感じといえばわかってもらえるでしょうか。
 ちょっと照れるけど、会ってはみたい。そう思って、一昨日、昨日と二夜連続で轟悠さんの最後の歌声を聞いてきました。
 宝塚歌劇団理事にも就任されたので、一生、宝塚にいてくださるものという甘い考えで、このところご無沙汰していたのです。それが、突然の退団発表ということで焦りました。
 宝塚大劇場の観客席で椅子が壊れんばかりに拍手した日々は、懐かしい思い出です。 
 もともと、恋人というより娘のような思い人でしたが、近頃は輪をかけて、大丈夫かな?今日の調子はどうかな?と親心半分で、夢の世界に浸りきれないこともしばしばでした。
 いよいよ、ラストステージ。あらんかぎりの声で、持てる力をすべて出し尽くされた姿を、こちらも真剣に受け取った一時間でした。

 先月には、植田紳爾先生演出の『婆娑羅の玄孫』で、お芝居のさよなら公演をなさいました。
 そのポスターのお顔は、重圧から解放された、柔らかい笑顔でした。今までで一番彼女らしいといったら叱られるかな?生徒さんの真実の姿も心も漏らさないのが、宝塚の掟ですから、その表情の示すものが、はたして私が感じたようなものではないならごめんなさい。
 でも、轟悠さんといえば眉の間に皺を寄せるような難しい役がこなせることで評価されているようですが、私は、「デパートメントストア」みたいな明るくて可愛いおちゃめな役が好きです。
 昨夜、数ある出演作の中から「デパートメントストア」がアレンジされて間奏曲に演奏されたこと、本当にうれしく思いました。思わず体がスイングしてしまいました。
 思えば、あの出し物の頃、忙しかったはずなのに、夜遅くまで、時には雪ちらつく深夜にも出待ちに並んだりしたものです。どこからそんなエネルギーが湧いたのでしょう。
 そのエネルギーはみんな轟悠さんからいただいたものでした。私の中年時代の守護神でした。
 それから、内緒ですが、『婆娑羅の玄孫』のラストで私が構えていたオペラグラスのレンズに向かって「世話になったな」という台詞を放り込んでくださったことは一生の宝物になりました。
 娘が笑うのです。「なわけないやん、ファン心理やな(笑)」と。

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 先日、高校野球の解説の方が「一般論として、東日本は潔く(戦い)、西日本はコツコツ(戦う)スタイルが多いように思う」と話されていました。東京は武士文化、大阪は商人文化。それが球児にまで及んでいることにびっくりします。
 じゃあ、近江高校大阪桐蔭高校近江商人の方が一枚上手だったのかなと笑ってしまいました。
 土地で培った気は、知らず知らずそこに生活する人の気を作り上げているとは不思議なことです。氏神様があるということは、その土地をみんなで心一つにして守ってきた証しです。
 熊本県人吉市で中学まで、男兄弟の中の一人娘で育った人は、意識しなくても熊本の種から発芽しているはずです。
 やんちゃだけれどもお淑やか、肥後武士道に根ざす正統派。
 人生まだ半ばです。持ち味をフルに発揮して、元気いっぱい笑顔で生きていってほしいと、おばあさんになってしまったファンは祈っています。
 そして、ディナーショーのタイトル曲『Soon Yū'll Go』 の歌詞「夢の中でいつか出会えると信じている」が正夢になれば、そんなうれしいことはありません。