曇天でもあったので、今日の仕事帰りの車の温度計は25度でした。贅沢は言えませんが、あまりに急な温度の下降に戸惑います。
こんな時は体調を崩しやすいものです。どうぞご自愛ください。
少し涼しくなったことをどんなことで感じますか?
昨日までコーヒーを美味しく飲んでいたのに、今日は紅茶を飲んでみたくなるなんてことはありませんか?
それが、体が秋を知らせるサインです。
なぜなら、コーヒーの性味は平から涼。紅茶のそれは温なのです。体が温かい飲み物を欲し始めたのです。
アフターヌーンティーはイギリスの人のお好みだからではなく、緯度の高い土地柄に住む人の冷えた体を温めるための恵みだったのです。
紅茶は中国から船で運ぶ間に発酵してできたものといわれたりしますが、当時から中国にはすでに発酵茶はあったそうですから、どっちが本当なのでしょうね。
ところで、日本人はひんやりしてくると、温かい日本茶と和菓子が恋しくなります。
日頃、食べない男性も凝った作りの上生菓子を出されると思わず手が伸びるのではないでしょうか。和菓子の甘味と日本茶の苦味は親子関係の味ですから相性は抜群です。
この秋冬、コロナ禍にあっては、お茶の渋みやカテキンという成分が役に立つことでしょう。
さて、お茶談義はさて置いて、今日は上生菓子の名前について入手した情報を披露いたしましょう。
「着せ綿」(きせわた)という生菓子が新聞に載っていました。橙桃色の菊の花に白い綿を乗せたような上菓子です。
陰暦9月8日の夜に菊の花に綿を被せて、露と菊の香りを移し取り、翌9月9日の重陽の節句にその綿を体に当てて長寿を祈るという、行事に因む生菓子です。
菊は仙人が住む仙郷に咲く花だそうです。
菊ほどもちがよい花はありません。生けるときに枝をポキッと折って水揚げできるのも菊だけです。
その逞しい命から長寿を約束する花になったのではないでしょうか。
久しぶりに菊の一種生けでもしてみましょうか。
またまた、花より団子で申し訳ないことですが、上菓子の名前は、どれにしようかと迷わせるほど上手く付けられていると思いませんか。そのときの心が連想する景色を何で選びますか?色?形?味?
「虫の音」「月明かり」「月ウサギ」「茜空」「夜露」「里だより」「秋桜」「みだれ萩」「初嵐」などなど。
なかなか、外出もままなりませんが、温かい日本茶をゆっくりと淹れて、上生菓子を添えたら心の散歩ができます。
和菓子職人さんが技で作り上げた、食べるのももったいないような作品を愛でながらいただくとき、秋の情景の中に遊べる幸せを感じるのです。