こころあそびの記

日常に小さな感動を

若い人は希望です

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 昨晩、東から上ってきたお月様。寝ている間に天空を渡り、早朝には西に輝いていました。一晩で二度会えた。それだけで、なんとなく得した気分の一日の始まりです。
 空は癒やしです。いつの頃からでしょう。あれほど感じていた虚しさを忘れてしまったように感じます。それも、天から降ってくる気のおかげかもしれません。今は満たされた思いでいます。
 そして、その思いを向ける先は若い人たちです。彼らを応援できることが何よりの楽しみです。
 今朝も、大きくなった孫の頭を撫でながら、父や母が生きていたらどんなに喜んだことかと娘と話したことでした。この世での応援が済んだ人も、きっと側で見守っているはずだと思っています。

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 ショパンコンクールが終了しました。
 反田恭平さんが二位、小林愛美さんが四位に入賞されました。誇らしいことです。おめでとうございます。
 演奏のことはわかりませんが、反田さんに代表される若いピアニストの資質の変遷を考えてしまいました。
 昔は、ピアニストは孤独な修行僧というイメージでした。
 部屋に閉じこもって練習して、その結果、機械仕掛けのように弾けるようになるという昔のレッスンはどこへやら。専門バカの時代は過ぎ去ったことを強く感じます。
 反田さんや角田さんのように、総合プロデューサーでなければ、ピアニストにはなれないことを痛感します。反対でしょうか。何でもできる人がたまたまピアニストになったということかもしれません。
 ハイドンが教会で、モーツァルトが社交場で演奏を披露しようとすれば、パトロンが必要だったと言いますから、演奏家は弾くだけではすまされないのは今も昔も同じです。
 ピアノがお嬢さん芸ではなくなった。こんなところにも時代が熟成に向かっていることを感じます。
 反田さんは、6年かけて、どうしたらこのコンクールで優勝できるか策を練ったといいます。
 髪は武士というイメージにして、身体は一旦筋肉をつけてから、直近の2ヶ年で脂肪に変えたとのことです。
 脂肪に変えて柔らかに反響する音質にするところまで追求されたことには脱帽です。
 角田さんも音響工学という勉強をされて、弾く場所に応じた工夫をされていると聞くと、最早、ピアノは指が動くだけでも、作曲者の背景を知るだけでもないところまで進化し続けて、若い才能がそれを楽しむまでになりました。
 先人は「知識は道具。それを使いこなせるかどうかは人間性」という言葉を残しています。
 まさに、技術を駆使してその先まで見越せる人間の感性が問われる時代になりました。
 新しい船に乗り込むのはいつの時代も若い人です。
 大海に雄々しく漕ぎ出す彼らに惜しみない応援を送ることが老婆のこの上ない楽しみとなっています。