こころあそびの記

日常に小さな感動を

「クラムボンはわらったよ」

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 ラジオからバッハの「主よ人の望みの喜びよ」を奏でるパイプオルガンの音が流れてきた丁度その時、空の雲間から天使の梯子が幾筋も降りていました。
 贅沢なひとときが味わえた朝でした。
 
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 先日の朝、孫の公文教材が食卓に置きっぱなしになっていたので、どれどれ、どんなことやってるのかな?と国語教材を見たら宮沢賢治の「やまなし」でした。
 「クラムボンはわらったよ 
  クラムボンはかぷかぷわらったよ
  クラムボンははねてわらったよ
  クラムボンはかぷかぷわらったよ」
 というフレーズが今もこのお話を生かしています。
 詮索は専門家に任せて、こどもはこの言葉のリズムを楽しんでほしいと望んでいるように思えます。
 せっかくだから、全文読んでみたくなって、図書館で『教科書にでてくるお話 六年生』を借りてきました。
 「やまなし」は明るい海の中のカニさん親子の楽しい日常ですから、挿絵も明るい水色でした。反対に暗い海の話が最後に載っていました。
 小川未明の「赤いろうそくと人魚」です。ご存知ですか。こんな暗くて淋しいお話を好きな方はおられないと思いますが、私はなぜか心に引っかかって、この童話をもう一度読みたくて探していたのです。
 この話が、子供心に何を残したのか今もって分かりませんが、昔から変わった子供だったとしかいいようがありません。
 その再会を「やまなし」が導いてくれたことに奇妙な縁を感じました。

 ところで、ヤマナシという木はバラ科で、いい匂いと春先の梨に似た白い花と、童話に出てくる丸い実が特徴です。

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 ややこしいことに、ヤマナラシという木があります。
 ”山を鳴らす“ところから付いた名前だといいます。
 過日、足元にこんな黄色い葉っぱが落ちてきまして、思わず拾い上げて持って帰ってきて、Googleで検索したら、この葉っぱがヤマナラシらしいのです。そういえば、春先の散歩道で黄緑色の花の束がぶら下がっているのを見たことがあります。
 どこのどなたかが分かったので、来春には、その在り方を探ってみるつもりです。

 ヤマナラシは日本産ポプラ。風絮を飛ばす柳の仲間です。
 小学生の頃、通学路にはイチョウとポプラが植わっていました。
 秋になると、その落ち葉を拾うのが楽しみでした。イチョウの黄色は目にも鮮やかで、色も形もポプラは少し地味でした。
 ところが、ポプラがわずかな風にもそよぐこと。春風にサラサラと鳴きながら光輝く姿や、木枯らしが吹けばザワザワと大きな音をたてることに気づいてからは、ポプラの葉擦れの音を愛おしく感じるようになりました。
 葉柄を長くしていっぱいそよげるようにしたのは誰ですか?おかげで風の音に混じって、森の中で生きる木々たちのおとぎ話が聞こえてくるようです。