だいだい蜜柑が色づいて、それもたわわに実っています。
色のなくなった冬季に、古代の人は蜜柑のオレンジ色を太陽と見立てたようです。そう思わずにはいられない明るい色を配色した誰かが確かに居るように思えてきます。
さて、寒くなって、処方箋にも、咳止め薬が増えてきました。
処方箋は無味乾燥なものではなく、季節感を表し、もっといえばその人の生き方も見えてくると私は思っています。
咳が出る。それって、身体がどうしたいのかと考えてみたことありますか?
喉に何かがひっかかっている場合は単純にそれを出してしまいたいという物理的な咳です。
そうではなくて、身体の中に溜まった熱を解放しようとする咳があるのをご存知でしょうか。
若い人ならストレスによる肝熱から、また、ご老人なら陰虚の熱かもしれません。
身体はこの溜まった熱を外に出してしまいたいと考えます。その方法の一つが咳です。
ほかに、意外ですが、会話することがあります。
中医師の梁平先生は「タバコ屋のおばちゃん」と比喩されました。中国のタバコ屋の方はよく喋られるのでしょうか。タバコは体に熱を溜めます。喋るとスッキリするのは、その熱を発散したためだったのです。
それから、動くこと。歩けば熱量を消費するから当然です。
体の声を聴くことは簡単そうで、その実、奥深い真実を秘めています。
例えば、今日なに食べようかな?という気持ちはとても大切な体の声です。
温まりたいのか(冷えた日)、冷やしたいのか(暑い日)。元気を出したいのか(こってり)、鎮静したいのか(あっさり)。
その日思いついた献立は体調のバロメーターです。だから、本当は当日に考えるのが理想的ですが、忙しい現代人には無理があります。
一品でも、体の声の要求に従って追加できたら上出来だと思います。
自然界で太陽という火と循環している水が調和しているように、私たちの身体の中でも同じように陰(水)陽(火)が常にバランスをとっていると考えた先人の知恵に脱帽します。なんと分かりやすい説明でしょう。
近年、医学だけではなく文字から思想まで、中近東からの流れに影響を受けてきたことが分かってきました。シルクロードは昔の人には遠かっただろうと推察したのは、行ったことのない者の浅はかさだったようです。
どうしても行くのだという気概がすべてをはねのけ、不可能を可能にすることを古代の人に教えられます。