こころあそびの記

日常に小さな感動を

善性の証

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 信号待ちしてたら、寒桜が満開でした。
 しばらく行くと、道路脇のガードレールにキカラスウリがたくさんぶら下がっていました。
 目の前にはエンジェルラダーが幾筋も降りています。
 
 あわただしい朝の通勤途中にあっても、一瞬の夢を見させてくれるものが用意されています。見つけたら、ひととき心が空っぽになります。健やかな体も康らかな心も空っぽから始まります。
 
 昨日の帰り道、ラジオで久しぶりに堀江謙一さんのお声を聴きました。おん年83歳とは思えない滑らかなお話ぶりに、あぁ、いい年の取り方されたなと感じました。
 来春、サンフランシスコから神戸まで、20代に決行された”ひとりぼっち旅”の反対のコースを予定されているそうで、うそでしょという思いと、このお声ならできるかもという思いが重なりました。
 印象に残っていることは?と司会者に訊ねられ、お応えになった「夜の虹」に興味を持ちました。小説の題名ではありません。柔らかな月明かりでできる儚げな虹のことです。誰も見ることができない、堀江さんだけの宝物です。


 辛いニュースが続きます。
 それでも、人は善性だと信じる気持ちを揺るがすものではありません。
 
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 薬師寺西塔の初層に安置されている釈迦四相の像を見て回っているときのことです。
 釈迦の初めての説法が行われている場面「転法輪」を見ていた家族の中の中学生と思しき男の子が「これ、俺、感激したわ」と何度も繰り返すのを聞きました。それは、彼の心から湧き上がった感動に違いないと思いました。
 この西塔のブロンズ像は、現在95歳の中村晋也氏が八十代のうちの七年をかけて制作された大作です。
 彼の言葉に「先人の歩いた道が、どういうものか理解する助けになってほしい」とあります。
 その気持ちを汲み取った中学生の言葉を聞いたら、中村晋也氏はどんなに喜んで下さることでしょう。どうか、彼の善性がこの先いつまでも尊いまま育ちますようにと心をこめて祈りました。
 彼の歓声は、今も耳に残っています。若者は希望です。ありがとう。

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