こころあそびの記

日常に小さな感動を

雪がちらつく元旦に

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 あけましておめでとうございます

 除夜の鐘の音が響き始める頃に若者たちは初詣に行ってしまいます。
 私は、彼らに年越しそばを振る舞ったら、そこで力尽きるようになってしまったため、お付き合いができなくなりました。
 ですから、朝の初詣です。
 新年早々の初詣を済ませた遅起きの家族が多いのでしょう。境内は朝の光の中で静まりかえっていました。
 その厳かさは、ちらつく雪で更にいや増しているようでした。
 うっすらと雪に覆われた大地に初陽が射して、金色や銀色にキラキラ輝く様子が見られて、それだけで嬉しい初参りになりました。

 「新しき年の始めの初春の
  今日降る雪のいやしけ吉事  大伴家持
              万葉集 20巻 4516

 「雪」は降る雪という意味のほかに、そそぐ、清めるという意味があります。
 それは、ヨの部分が彗=“ほうき”から成っているためといいます。(彗星=ほうき星ですものね)
 万物を掃き清め、すべてを真っ白に覆ってくれる雪は、確かに心を神聖な状態に近づけてくれる力を持っています。
 家持の歌には3つの吉兆が含まれています。雪が豊年の瑞祥であること。新年であること。歳旦立春であること。
 家持が雪のことを賞賛してくれるから、彼の歌が好きなのか、歌の心に魅力を感じるから彼に寄り添いたくなるのか。どっちが先か分かりませんが、大好きな「雪」から始まった今年、家持の予言通りに良い事がいっぱい重なりますようにと、手を合わせたことでした。

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 蛇足ですが、「会稽の恥を雪ぐ」というのは、越王、勾践(こうせん)が「臥薪嘗胆」で20年の屈辱に耐え、呉王、夫差から名誉を回復する、中国春秋時代のお話です。
 これは、宝塚歌劇轟悠主演「愛燃ゆる」で題材にされました。彼女の渾身の演技に夢中でした。
 その轟悠さんは「雪組」でした。
 お元気にお過ごしでしょうか。