こころあそびの記

日常に小さな感動を

初春の光の中で眠る山

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 寒い朝。うちのわんこが、じっとこっちを覗き込んで、行く?と誘ってきます。
 マイナス1度ですよ。それでも行きますか?
 健気な表情に負けて重い腰を上げ始めると、やったぁやったぁ!とぐるぐるそわそわする仕草が、またかわいいくて散歩に出発です。

 今朝は箕面大滝を目指してlet's go!
 
 寒中だからこそできること。
 寒餅。寒さらし。
 新潟県魚沼市はお米のブランドとしてつとに有名ですが、越後上布の里であることを知りました。
 この時期、雪の上に布を晒すと汚れが消えるといいます。そうするものだと受け継がれてきた先人の知恵。実は科学で説明のつくものだったのです。
 雪に太陽が当たると布と雪の間の水蒸気がオゾンを発生させて漂白させるそうです。
 そんな説明を誰から教えられたのでもなく、極寒の中で雪の上に広げてきた人間と自然の関係は素敵です。
 同じように、和紙をすく過程でも、楮の寒ざらし
 金沢でも、川で友禅の寒ざらし
 どれもこれも、手がちぎれるくらいの冷たい作業から生まれる美しく貴重なものです。

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 そんな寒中の滝のしぶきに身を晒して、身体も寒ざらしです。
 
 帰り道。男性2人が崖の上の方に向けて、双眼鏡を覗き込んでいるところに遭遇しました。
 若いほうの方が「あの日当たりのよい崖のあたりですよ」と初老の男性に教えておられます。
 ここは、聞いておこうと「何がいるのですか?」と尋ねると「ミソサザイなど4、5種類はいますよ」と応えてくださいました。
 それを聞いて、そうか、さっき上ってくるときに見た、雀みたいだけど雀じゃなさそうと感じた鳥が「ミソサザイ」だったのだと、また一つ物知りになれました。
 「ここで先日は鹿も見ましたよ」と男性。
 大きないのちも、野鳥のような小さないのちも、私たちのすぐ近くに生きていることを実感できる寒中ウォーキングでした。

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 箕面山では「神変大菩薩」と唱えられている役行者が修業されたころは狭く厳しい谷だったことでしょう。その後、滝道は整備されて今やサンダルで歩いけるようになりました。それでも、水の音や鳥の声や山上から差し込んでしく光が役行者さんが見た光景だと思えば元気が湧いてくる気がします。
 人間の力くらいではビクともしないから、自然は永遠に崇められる存在です。