こころあそびの記

日常に小さな感動を

御嶽海関おめでとう

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 相撲は子育て中の人には、絶対に観られない時間帯に放映されています。夕方の主婦がいちばん忙しい時間です。
 そんなことで長い間ご無沙汰でしたが、主婦業も一段落したこの歳で観戦するようになりました。それには下地があったのです。
 小学生の頃、母が夕飯の準備をしている間、横で相撲中継を観ていたことを思い出します。
 子ども達の中には星取り表を付けていた子供もいたと言いますから、昔のスポーツ番組は”巨人、大鵬、卵焼き”にたとえられるように、野球か相撲しかなかったのでしょう。
 私のお気に入りは対戦ではなくて、夕飯の匂いが漂い始める時間になると始まる、「弓取り式」です。
 女だてらに、この弓取り式が楽しみでした。お相撲さんの真似をして、弓を肩に担いで四股を踏みます。土を弓で清める美しい所作も美しく思いました。
 勝者を称える舞いから始まったとのことですが、荒れた土俵の気を清める意味もあるのではないかと思っています。
 今は、この弓取り式を割愛して、取組が終わった後、時間が余ればその日の総括などなさいますが、できることなら、昔のように「弓取り式」まで放映してほしいと願います。
 
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 美しいと感じた理由は、相撲が神事だったと知って腑に落ちました。
 あらゆる所に祈りが入っています。
 赤房(南)、青房(東)、白房(西)、黒房(北)に五行も見られます。
 呼び出しも奇数日と偶数日で方角を変えると先日の放送で知りました。
 古来から、一説によると聖武天皇の時代からとも、もっと古く、天の岩戸を開けた天手力男神から始まっているとも言われています。

 一時、スマートを好む若者に見向きもされない日々が相撲の低迷を招き、存続さえ危ぶまれたこともありました。
 そのため外国人力士を入門させたりして、その場その時の危機を乗り越えてきた大相撲です。
 
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 昨日は初場所の千秋楽でした。
 なんと、長野県出身の御嶽海関が優勝、場所後には大関昇進も決定しました。
 金字で「御嶽海」と大きく印刷された赤いTシャツを着た女性が大写しになった瞬間、NHKテレビ相撲解説者の52代横綱北の富士さんが「マルガリータさんだ」と声を上げられました。
 隣のアナウンサーが「ご存知なんですか?」と訊くやいなや「ファンだもの」ですって。
 いゃー、北の富士関に、あなたのファンですと言ってもらえるお母様は羨ましいかぎりです。
 御嶽海関のお母さまはフィリピン人でいらっしゃること。そして、彼自身、フィリピンで生まれたことなどを初めて知りました。
 映像からは底抜けに明るくてお母さんというよりもお姉さんというふうに見えました。

 御嶽海関は、幼い時から心優しい少年だったそうです。この場所中も決着がついたあと、土俵を割って敗者となった相手に手を差し伸べる仕草を、何回か拝見しました。三つ子の魂百までも。人への配慮のできる関取です。
 入門から大関候補と言われ続けて苦節7年。北の富士さんに「相撲勘がいい!」とお褒めの言葉をもらえるほどに成長されました。
 同じ長野県出身の江戸時代の三大強豪力士といわれた「雷電」から250年。やっと出た大関に地元は沸きに沸いているそうです。

 ふるさとに錦を飾ることのできた御嶽海関、本当におめでとうございました。