こころあそびの記

日常に小さな感動を

真っ直ぐに見る心

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 薔薇の根は2月から動き出す。知っているのに知らんぷりはできなくて、今日の日差しの中で根っこの土を引っ掻いて、肥料を入れました。
 丁寧さは皆無。「ごめんね」の気持ちだけの雑な作業です。
 案の定、跳ね返った土を思いっきり被ったので、着ていた防寒着を洗いに行きました。
 コインランドリーの大きな洗濯機なら、一時間で乾燥までしてくれます。便利なことこの上なしです。
 機械にお任せしている間、近くの図書館で待機です。
 いつもは、一番奥の中国哲学コーナーに直進するのですが、今日はその手前の万葉集の棚で止まってしまいました。
 私を呼んでる本はないかな?と思って背表紙を見ていきます。

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 ありました。それは、岸田今日子さんの書かれた『あの季この季』という本でした。
 お姉さんの岸田衿子さんは童話作家、詩人であることは知っていましたが、今日子さんがこんなに文章がお上手で、しかも俳人でいらしたことに驚いて、館内にある椅子に腰を下ろして読み始めてしまいました。
 この表紙カバーの絵が良いでしょう。誰もが手に取りたくなる絵だと見入っていたら、なんと、平野レミさんの旦那様の和田誠さんの手になるものでした。
 「君が本を出すときは表紙を描いてあげる」とご本人から言われていたというからすごいです。華やかなんていったら失礼ですが、多彩な友人をお持ちだったと拝察しました。
 
 「 妖怪のふりして並ぶ冬木立 」

 裸の木も常緑の木もこんもりと雪を被って枝がしなっている様子を詠んだ一句だそうです。
 ユーモラスな感じ方が新鮮です。
 
 「目に見えたものをそのまま差し出しているように思える言葉。(読後に)たくさんのイメージを感じさせる、そんな俳句が作れたらいいな」
 という文章に、作者の真骨頂を見ます。
 
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 と同時に、お姉さんの「地球に、種子が落ちること」という詩を思い出しました。

 「地球に、種子が落ちること
  木の実がうれること
 おちばがつもること
 これも空のできごとです」

 お母様を早くに亡くされた二人姉妹。
 真っ直ぐに物を見る目が、似ていると思いませんか?