こころあそびの記

日常に小さな感動を

『新日本風土記』から

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 強烈な立春寒波が到来。日本列島を襲っています。
 朝から日本海側はもちろんのこと、近畿でも滋賀県では大雪になっています。
 冷たい風に震えながら、神社まで朝の散歩してみましたら、石段脇に蕾を見つけました。沈丁花です。準備万端ですけど・・とささやいているようでした。
 
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 そんな春待つ草木も雪に埋もれている地方があることを承知しています。今晩あたり、たいへんな量の雪が上積みされることでしょう。
 NHK BS『新日本風土記』が松たか子さんのナレーションで放送されています。
 昔、『新日本紀行』という番組がありました。冨田勲さんの重厚でありつつも日本人の繊細さを表現したテーマ曲が始まると、テレビにかじりついたものです。
 その現代版の『風土記』ですが、取材される人々の様子や心根に『紀行』当時と何の変わりもないことに安堵します。

 昨日は、豪雪の北陸地方が放送されました。
 日本屈指の豪雪地帯として、福井県大野の雪が映し出されました。大野は奥越といわれ、90%が森林の雪深い里です。戦時中、腰まで埋まってお米を貰いに行ったと母が話した大雪はこの事かと、無我夢中でこの雪中を歩かざるをえなかった様子を想像するに、戦争の悲惨さを感じないではいられませんでした。

 心温まるお話もありました。
 能登半島珠洲市に住む、ある80歳代のご夫婦です。
 冬季だけは別居されます。
 夫は冬の間、富山県杜氏として働きに出ます。能登杜氏といって、寒い地方ならではの出稼ぎです。寒いからできること、酒造もその一つです。
 その間、妻は留守宅を独りで守ります。嫁いできた年から続く夫の不在が、最初は怖かったという言葉は本当でしょう。追い討ちをかけるように雪が家を囲みます。雪かき作業も独りでやってきました。孤独な越冬を強いられても生き抜けたのは女の強さでした。
 そして、携帯電話で安否を毎晩のように確認しあうご夫婦の、つっけんどんなやりとりには、かえって夫婦らしさが感じられます。
 現代社会では、夫婦のかたちも変わってきて、別居結婚も増えているとか。このご夫婦は望んで別居しているわけではありませんが、ずっとこの形で過ごしてきました。
 時折、おじいちゃんがおばあちゃんを心配する気持ちを見せます。
 その日本男児の優しさと、ほっこり感が堪らなく好きです。