夕刊の「ビブリオエッセー」の題字が「本の世界へようこそ」に入れ代わっていて「?」。まさか、私みたいに腸炎ビブリオ菌をイメージする人が多かったわけでもあるまいにと、ひとしきり笑った後、今日のエッセーを読ませていただきました。
『空の拳』(そらのこぶし)。角田光代さんの本ですから面白いはずですよね。今度、図書館に入ったときには探してみようと思いました。
主人公、那波田空也がいろいろあってリングに立ちますが、「本当はこわい。すげーこわい」という恐怖にいかに打ち勝つことができるのか。
興味あるテーマです。
実は、同僚に市内のボクシングジムに所属するプロボクサーがいます。
「なんで、ボクシングなんかするの?」と野暮な質問を会うたびにしてしまうバカな私。試合前の減量。毎日の走り込み。身体の重い私には信じられない生活を何のために?と思ってしまうのです。
それが、彼にとって難行苦行ではないようなのです。
私があまりにひつこく、「?」を連発するので、それを聞いていた一人が「あなたにも、どうしてもしたいことあるでしょ」と耳打ちしてきました。
例えば、お孫さんの世話とか・・と彼女は言いましたが、よく考えてみれば、人は自分のやりたいことやって生きていることに気づきます。
お化粧法やファッションに熱心な人。
賭け事がやめられない人。
食欲に翻弄される人。
「やめろといわれても・・」止められないことって、誰にでもあります。
ロンドン五輪ボクシング・ミドル級で日本人初の金メダルを獲得した村田諒太さんが自著『101%のプライド』の中で“自己決定力”の大切さを書いておられます。
自分で決めたから、歯をくいしばれる。
その苦しさは人に命じられたものではないから、乗り越えることができます。たとえ、報いがなくてもです。
諒太さんは「引き潮の時は流れに身を任せ、いざという時のために泳ぐ準備をします」と書かれています。
次の波のために努力を惜しまないことが大切だと。
先の同僚のボクサーが1月の試合で顎関節骨折という事故に遭遇しました。
顎が動かせない日が続き、食べられなくてどんどん痩せていきます。手術は三回ほどに及ぶとのこと。
そんな状態になっても、「まだボクシングするの?」「はい!」と力のない声で返事をしてくれます。
まさに、自分で決めたことを貫くようです。
若い時にしかできない努力が、ボクシングという形で実るにしろ実らないにしろ、振り返ったときに、よくやったと自分を褒めるほどになったら、人生の勝者になれることは間違いありません。
好きなこと。たとえしんどくても、好きなことをがんばるあなたを誰かが応援していることが、また素敵なのです。