ベイエリアに泊まったから、必ず日の出が拝めるわけはないとわかっていました。曇りという予報通り、日の出の時間になっても水平線に大陽は現れません。
やっぱり。と、諦めて部屋に帰ったら、窓の方からぼんやりと光が差し込むように思いました。慌てて、振り向いたら、雲の上から太陽が出てくるところです。
もう、この旅の目的は果たせたと思えました。何度も太陽に感謝の祈りを捧げた朝でした。
水平線から伸びる光の道。
写真で見ることはあっても、実際に見る機会は大阪では難しいことだけに、この幻想に酔いしれたことでした。
学生時代に能登を旅したことがあって、眩しいほどの光る海を見た日のことを思い出しました。
あの頃、石坂洋次郎の原作で『光る海』という日活映画がありました。吉永小百合、浜田光男、和泉雅子、山内賢とオールスターが出演している作品でした。
石坂洋次郎さんの青春小説が映画でもテレビでも大人気だったのは、右肩上がりのよい時代だったからだと思えます。明るくて、若さが弾けるのが若者なんだという定形は石坂作品の影響が大きかったことでしょう。
それと、吉永小百合さんという女優の出現があってのこと。
続きはまた、明日。