こころあそびの記

日常に小さな感動を

「お水取り」に参集した天竜

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 桜には、花がパッと咲いて、潔く散る染井吉野が日本人の心情に合うからか、これから咲き始めるのは殆どがこの品種です。
 でも、花びらが落ちたあとしばらく残る蘂の紅色と、萌えだしてくる若葉の柔らかな緑色が合わさる頃も好ましく思えます。
 桜餅みたいに桃色と若草色が同時に演出される桜がディズニーシーで満開でした。山桜を園内に採用された理由を知りたいものです。名前からくる印象よりも、ずっとハイカラでお花を生けたように華やかだからですか?
 つぎのアトラクションに急いでる若者さえ、足を止めてカメラに収めたくなるようです。心そそる色は年代を問わないことに安堵しました。

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 昨深夜、大気が上空で乱れたことをご存知ですか。
 私は丁度、東京から帰阪途中で娘婿の運転で大阪に向かっていました。
 息子の住む名古屋を通過するまではよかったのですが、桑名辺りからポツリポツリとフロントガラスを大きな雨粒が打ちだしました。天気図を見たら雨雲レーダーには名神高速に沿って一本の真っ赤な雲(大雨もたらす厚い雲)が居座っているではありませんか。
 まさに、大きな竜が大津から大阪にかけて寝そべっています。竜が雷を起こし雲を呼び雨を降らせている図です。”おとぎの国”はさっきまで居た人工物で作られたものだけではない。今見ている天空の異変こそ先人が畏れを持って語り継いできたものでありました。
 時刻は一時半。
 ふと、気づきました。そうだ、今頃、奈良では「修二会」のクライマックスである十一面観音様へ閼伽井屋(あかいや)の中にある若狭井から香水を汲み上げる秘行がおこなわれている時間帯であることに。
 「お水取り」は、お松明が二月堂の回廊を火の粉を落としながら練行衆が走る姿が絵になるので、マスコミはこちらをこぞって報じます。
 しかし、「お水取り」という本来の意味は、若狭の神宮寺から水送りした水が十日かけて東大寺の閼伽井屋(あかいや)の井戸に送られてきたものを汲み上げる秘事です。そして、その香水は観音様に捧げられます。
 昨年末から準備が始まって、3月に入れば、選ばれた修行僧が本尊の十一面観音様に不眠不休、不食で祈願を続けて下さいます。
 国土安寧、五穀豊穣、世界平和、人々の幸せを念じて観音経を読み続けられます。
 
 今年は、コロナのこと、ウクライナのこと、願いはより深く大きくなりました。
 そこで、竜がお出ましになったのではないでしょうか。
 自然は沈黙してはいない。
 地球上のすべてを見通して同調すべき時はしてくださるのだと、天が稲光で発光するたびに目を閉じて龍神様の恵みに感謝いたしました。
 
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 昨夜の「お水取り」という大祓で、下界のお清めは済みました。春が、一人一人が望む通りに萌え出しますように。