こころあそびの記

日常に小さな感動を

『支那論』の内藤湖南が目指したもの

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 「ツッピーツッピー~」というかわいい声が庭に響いています。慌てて出てみると桜の木の一番高い枝で鳴いているのは四十雀。お名前は存じておりますよ。と、携帯を用意しようとしたら飛んでいってしまいました。
 冬鳥がいなくなったさびしさを補うように、小鳥の恋の季節がやってきました。
 小さい小さい体に一つのいのち。その存在はこの世のすべてのいのちの一つです。元気に飛びまわる姿を愛おしく思った朝でした。

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 昨夜NHKBS『英雄たちの選択』~千年のまなざしで中国をみよ 内藤湖南が描いた日本と中国~を観ました。
 父親が儒学者であり、彼自身も八歳で論語をそらんじたという方がいらしたことを初めて知りました。
 明治16年に秋田師範学校を出てからは独学で英語を身に付け、ジャーナリストとして学問と現実のギャップも経験されました。
 その後、43歳の時、京都大学教授に大抜擢されて日本の知能になります。
 その底力は幼い頃、雪に閉ざされた秋田で読み通した漢文の素養です。
 人としての深さは知識によって測られる。と。
 例えば中国とのお付き合いをどうするかという問題においても、かの国の歴史を知ることで分かる本質を理解することから始めなければならないと言ってます。

 為政者となるには、ここが大切だと常々思っています。目の前の一手で相手を打ち負かす知識ではなく、深く歴史を紐解いて、彼らがこの思いに至った原理を知らなければ、一時はうまくいっても長くは続かないことでしょう。
 その点では、人間は聡いものだと感心します。匂いで嗅ぎ分ける力が備わっているのです。大切なことがマスクされない世の中であってほしいと切に願います。

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 今朝の朝刊には、イギリス人ヘンリー・ダイアーの“最高の幸福を得る方法”が載っています。
 「祖先伝来の人生哲学をしっかり維持していくこと」
と。

 日本には日本人が築き上げた人生哲学があるように、中国には中国の哲学があります。その理解の足しになる漢字を読める強みを持っていることは、西洋人よりも有利なはずです。
 ところが、現代人は漢文素養がありません。
 リーダーを目指すなら、漢文を読める力はなくても、少なくとも中国何千年の歴史を知るべきです。
 土台のないうたかたの治世では、心許なさすぎます。
 
 「個人の幸せは全体の幸せと一致したときにのみ、その頂点に達する事ができる」 ヘンリー・ダイアー

 世界中が平和になるには人々の努力がまだまだ足りないことを、近頃の世情が示しているようです。