「誰が着るんだろう
あのウエディングドレス
誰が被るんだろう
あのウエディングヴェール・・♪」
こんな歌ご存知ないですよね。昭和の高度成長期、結婚式で洋装が流行りだした頃の歌です。ウエディングドレスを着たくなるように仕向けたのは、中村八大の詩で、それにワルツの曲をつけて世の若い女性達を躍らせたのは、永六輔です。
懐かしいですね。六八コンビ。
なぜか、こんな古い歌を思い出してしまいました。心がウキウキしているからですよね。
実は、仕事で大阪駅から電車に乗るとき、いつも横目で見ていたのです。
お昼間から「特急こうのとり」なんかに乗ってるのはどんな人なんだろう。窓越しに、お弁当なんか開いているのが見えたりするといいなぁ、どこへ行くんだろうと羨ましくて、自分にはそんな日は来ないからと忘れようと努めたものでした。
でも、本日、私は車中の人になりました。
お昼に大阪駅を出発するサンダーバードに乗り込んだのです。憧れの11番線です。
こんなこと、一昨日までは思いもしませんでした。
ところが、昨日、絵の先生とお話しているうちに、燃え出しました。先生はそのまた前夜のNHKドキュメント「東京芸大卒業制作」から刺激を受けて、熱い思いを吐露されます。それを聞いているうちに、伝染してきたのです。
やるなら今でしょ!
今週なら孫たちの学校もお休みだから行けるかも、と閃いてしまったら最後、午後から、バタバタと計画を練ってチケットを買いに行って、本当に出発してしまいました。
目的地はいつか再訪したかった山中温泉です。
いつか、と思うことを何万回重ねても実現しないものです。誰かが導火線に火をつけてくれないと、動けないのが凡人です。
ところが、世の中にはよいしょしてもらっても、全く動じない強者もおられるようです。いいか悪いかはべつとして、よいしょしてもらったら、はいはいと動き出すのが私流。丙の日生まれの私の信条です。蛇足ですが、丙は太陽。太陽は片時も休まないということです。
この宿は、もう二十年ほど前に、足の具合が悪くなった母を車に乗せて来たところです。それまでにも何軒かお世話になったのですが、最後の宿だったように記憶していて、なにかの拍子に思い出すのです。行ってみたいと。
母が結婚した戦後の新婚旅行の行き先ベストワンは、関西では山中温泉だったようです。ご多分に漏れず、山中駅に降り立った母を父が写した写真を見たことがあります。
雪の山中駅に着物にコート姿で利休下駄を履いた母が写っていました。結婚生活のスタートはこの地からでした。
次々運ばれてくる食べてしまうのはもったいないほどに思える宝石のようなお料理を味わいながら、食べることが好きだった母を忍んでいます。
4月8日が命日です。一緒に食べてくれていたら来た甲斐があるというものです。美味しいね。