こころあそびの記

日常に小さな感動を

帰ってきました

f:id:snowrumirumi:20220330172535j:plain

 見えますか?
 
 荒海や佐渡に横たふ天の川 芭蕉

 まさか、この目で佐渡島を見る日が来ようとは思ってもみませんでした。
 人生はこんなことが起こるから、明日も頑張ろうという気持ちが湧いてきます。

f:id:snowrumirumi:20220330182517j:plain

 朝飯前のお参りを済ませてから、朝食をいただいて宿を出ました。
 ロープウェイ乗り場は静まりかえっています。気が急いて早すぎたみたい。まだ、一時間もあるなら、登ってみようかなと、わが脚に相談もなく邪心になぜか従ってしまいました。
 歩き始めた時、先日、箕面山の望海展望台に登ったことを思い出しました。そうだ、あれが出来たんだから今日も登れるはずと、へんな自信が沸き上がってきたのです。
 ちょっと違うけれど、今月の神社庁の貼り紙は「播かぬ種は生えない」です。小さな自信が明日の自分を助けることがあることを実感したことでした。

f:id:snowrumirumi:20220330182910j:plain

 すでにバテているのに「一合目」の標識を見たときは愕然としました。
 上がっていく人に「一合目ということは、十合目まであるということですか」と思わず訊ねてしまいました。
 「そうですね。」とつれない返事に情けなくなったりして。
 でも、「五、六合目くらいには花が咲いていますよ」と付け足されたら、そりゃ頑張るしかありません。昨日のお二人連れに見せてもらったカタクリの群生の写真。私も見たい、その一心で登っていきました。

f:id:snowrumirumi:20220330180132j:plain

 聞き覚えのある「ツッピーツッピー」と四十雀が励ましてくれる森。頂上に近づくにつれて、ウグイスの美しい歌声が響いて、何度も上手だねと声かけしてがんばり通しました。
 お花や鳥の声、雪解け水の染み出る小川を見ているうちに、自分の頭が柔らかさを取り戻していることを感じます。
 自然の波長が体にとって何よりの薬になることは、古くから知られています。化学薬品でない薬を全身と五感が吸収して元気になりました。
 どこかが悪かったわけではありませんが、心が固くなって行き止まりに突っ込んでいるように感じていたのです。
 
 そして、最後のご褒美は広々とした越後平野と、日本海佐渡の島影です。
 
 春の海凪に浮かべる佐渡の島

 やっぱり旅はするものですね。旅上手の芭蕉をおさらいしたくなりました。