こころあそびの記

日常に小さな感動を

『香君』

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 美容院に行こうと車を走らせていて信号待ちで泊まった歩道側に、不思議な桜がありました。
 道行く人たちも立ち止まって見上げています。
 なぜ、このように一本の木から三つの色を咲かせることになったのでしょう。均等にではなく、紅色、桃色、薄桃色とかたまっていることも、天然の造化を感じさせます。
 思わず、フロントガラス越しにパチリと撮った次第です。

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 (今年は雀がはばをきかせています。このまま、桜の木が雀のお宿になりそうな勢いです。(笑))


 久しぶりに見る、本屋さんの店頭の平積みの本に変化がありました。
 旅から帰って欠乏を感じるのは文字ですから、どうしたって本屋に足が向いてしまいます。 
 その本屋で2位の売り上げになっていたのは、3月25日発売になったばかりの『香君』(上橋菜穂子著)上下巻でした。
 また、書きはったんや。それに、表紙の装丁が夢あります。
 しばらく逡巡したのちに、やはり買い求めてしまいました。

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 上橋さんのことは、NHKで二年に渡って放映された『水の精霊』を見るまで存じ上げませんでした。
 あのドラマを観て、架空の国の物語が創作できる彼女に興味を持ったのです。それは、どことなく、中国やアジアの雰囲気を孕んだ王国のお話です。
 帰ってきてすぐさま、読み始めましたが、思った通りやめられない止まらない面白さです。
 購買欲をそそった「香り」と「草」。
 私達の五感で最後に残るのは嗅覚だといわれています。“残る“という表現が当てはまらなければ、一番大切な生物としての砦みたいなものと言い換えられるかもしれません。
 その証拠に、コロナによる味覚喪失が問題になりましたが、五行でいうところの肺に異常を起こすコロナですから、嗅覚が利かなくなったともいえます。鼻をつまんで食べても美味しく感じないですものね。

 もとい、上橋菜穂子さんはそこのところもきっとご存知で、この時代に合うストーリーを描かれたのだと考えています。
 だから、この先が楽しみです。

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 話は変わりますが、過日、ディズニーシーに行った時、新しいアトラクション「ソアリン」に乗りました。
 「soaring」とは舞い上がるという意味だそうで、世界旅行の臨場感が迫るなかなかのものでした。
 その時思ったのです。
 “ランド”があって、“シー”がある。残るは何かと。
 なぜか、植物のような気がしたのです。スカイに一番近い癒やしの樹林。
 そんな時代の要求に応えた『香君』~西から来た少女~ならいいなぁ。読後感はまたの日に。