こころあそびの記

日常に小さな感動を

子犬のワルツ

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 今日は孫のピアノ発表会でした。
 
 私が子供の頃のピアノ発表会といえば桜橋にあった毎日新聞会館が使われました。どこの町にもホールがある今とは大違いでした。
 そして、当日はお友達を何人か招待し、車で送り迎えして、帰りにはお土産を準備しました。きっと日舞の発表会の真似をしていたのでしょう。
 それだけ、ピアノを習うことが、まだ憧れを持たれていた時代でした。
 そのことを思えば今は気楽です。大人数といってもおじいちゃん、おばあちゃんまでの集まりです。
 初めて発表会の舞台に上がった孫に、花束を渡すおじいちゃんの破顔を微笑ましく見てまいりました。

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 例年通りに司会進行は先生がしてくださいます。
 ピアノはヨーロッパ発ですから、作曲者の出身国を、ドイツ、スペイン、オーストリアと順々に説明されました。

 中に、今年ならではの話がありました。
 それは、昨年開催された「ショパンコンクール」の話題です。
 プログラムに、「私は角野隼人さんみたいに弾けるようになりたい」と書いている子供がいて、コンクールの影響を感じました。自分を触発するものに出会ったことは、この子の人生に何らかの種を蒔いてくれたことでしょう。
 「四年に一回のショパンコンクールですが、一年遅れでも去年開催できて本当によかった」と先生が話し始められました。鈍感なことに、次の言葉を聞いて初めてはっと気がつきました。
 「今の、この状態では、どうなっていたか・・・」

 昨年のコンクールは日本人が大活躍しましたから、まだその余韻に酔っているところがありましたが、そんなことが吹っ飛んでしまう事態が勃発し、進行中です。  
 ポーランドが誇るショパンでさえ、生まれ故国に遂に帰れずじまいの人生だったといいます。ヨーロッパの複雑な事情は今に始まったことではないことを示しています。
 
 去年の段階で発表会の選曲をされたようですから、先生の頭の中では「ショパン年」にしようと計画されていたようです。
 次々とショパンの曲目が続きました。どの生徒さんも上手に弾かれました。それだけに余計に戦争状態が憎いです。
 「ショパンが生まれたポーランドはね、平和な親日国であるクウライナという国に隣接していてとても仲良しなのですよ」
 そんな風にコメントできる日はいつ来るのでしょう。

 小さな小さな子供の発表会まで、穏やかではないお話を耳にしなくてはならない世情に胸を痛めたことです。