こころあそびの記

日常に小さな感動を

青に寄せて


 箕面市粟生間谷にあった大阪外大が大阪大学箕面キャンパスとして船場に移って来ました。加えて、このあたりに住まう人々の悲願であった地下鉄延伸が実現の運びとなり、早くも町には活気が出てきたように感じられます。

 このキャンパスの蔵書は箕面市民も借りることができますので、ミーハーの私は早々と、図書カードを作ってもらって活用しています。いつ行っても閑散としていたのに、今朝、返却に行ったら、久しぶりに登校する学生さんたちに遭遇しました。
 長い春休みが終わったのです。
 なんでも、このキャンパスは三年次から使うそうで、1、2年とコロナでオンライン授業が多かった若人にとっては、待ちに待った対面授業の再開です。
 新しい校舎に吸い込まれていく若者に、この二年間の空白を吹き飛ばすような勢いが感じられました。私にとっては、そんな学生さんの姿からエネルギーをもらえるありがたい場所でもあります。

 ところで、今朝の『ちむどんどん』に「清明祭」が登場して、びっくりしました。
 24節季の五番目、「清明」は旧暦3月、現暦で4月の初めです。今年は4月5日でした。
 中国で春節祭の新年のお祭りに続いて、「清明祭」が大切にされているのは、この日に先祖供養をする習わしがあるからです。
 そうと知っていたので、沖縄にこの風習が残っているということに興味を持ちました。中国との交易が隆盛であったことの証です。
 よく、沖縄に行けば、病んだ心の闇は晴れる聞きます。
 大らかな人と自然が、風通しのいい生き方を教えてくれるからでしょう。
 いつか訪ねるリストに記したい沖縄県になりました。

 さて、図書館で書棚に整然と並んでいる本から、借りたい本を探すのはワクワクする作業です。
 背表紙に自分好みのキーワードを見つけることから始めます。
 ありました!青!『青の美術史』(小林康夫著)。

 子供の頃、二人姉妹の姉だった私は、赤系統は妹に譲って、青色の服ばかり着せられていた記憶があります。
 その頃は、ないものねだりで、たまには、赤い色も着てみたいと思ったものですが、今一番好きな色は、青だと断言できます。
 
 青色がテーマの本とは?とペラペラめくると、画家の話のなかに、アウグスティヌスの言葉がありました。
 「彼方の空を見つめることで、人々は山の頂きや海の波、川のゆったりした流れ、大洋の循環、そして、天体の運行を感嘆して眺め、自分自身を忘れてしまうのです」
 そうなんですよね。そこなんです。古代ローマの大哲学者が感じたと同じ気分に浸れるなんて、テンション上がります。
 赤や黄色といった生命力溢れる色ではなく、青は色というよりも漠然として超越してるけれど、魂の根源的なものに関わっている色だと無意識に捉えている。だから、懐かしい色なんです。

 

 三好達治の詩が詠う青色にいつも憧れています。

  「かへる日もなき」

  かへる日もなきいにしへを
  こはつゆくさの花のいろ
  はるかなるもの
  みな青し
  海の青
  はた
  空の青」