こころあそびの記

日常に小さな感動を

箕面瀑布を訪ねて

 滝行きを決行するには、冬なら雪の降る日か、または前夜が冷えた日が狙い目ではないでしょうか。
 水しぶきが時が止まったように凍りついているところは圧巻です。
 今朝の滝に望むものは水量です。
 二日間降り続いた雨できっと瀑布になっていることを期待して出かけました。

 

 昨日、野村泊月さんの句をご紹介させていただいたので、まずはお礼にと瞑目して、目を開けた途端に見えたものは散華でした。
 一陣の風が頭上から椎、樫の花を降らせたのです。
 それをたまたまと取るか、ありがたいな、野村泊月さんが応えて下さったと取るかは自由です。
 でも、私は散華下さったと思いたい派ですから、満ち足りた気分になりました。
 
 今日はウオーキングラリーのキーワードも「野村泊月」に設定されて、山全体が野村泊月デーでした。
 椎や樫の花咲く今だから、苔むした句碑の存在と椎の花のことを皆様に知っていただけることを嬉しく思いました。

 よく、この時期の山歩きは全身緑色に染まると表現されますが、新緑の緑は優しくて清新で、夏の緑色とも違う今だけの心地よさが体感できます。
 ですから、今日は、舗装された右岸ではなく、山道の左岸を選びました。もし、緑を堪能したいなら、左岸がおすすめです。
 下から響いてくる水音と風の音を独り占めしながら歩いていたら、あれっ!太陽が顔を出し始めたではありませんか。
 携帯を向けて撮ろうとした時、つむじ風が起こって帽子が飛んでいきました。柵の向こう。手を伸ばしても届かないけど、棒きれがあれば捕れそうな場所に引っかかっていました。
 あきらめて歩き始めたら、前から、公園管理ボランティアの方がお二人歩いて来られたのです。渡りに船とはこのことです。
 思い切って事情を話してみました。
「あの~あそこで帽子飛ばされたんです」
「どこですか?」
「あの曲がり角のところです」
「分かりました。事務所に置いておきます。帰りに寄って下さい」
 ラッキーこの上なしです。一旦諦めた帽子がまた手元に返ってくることになりました。
 もう、何十年と被っている帽子。はげちょろけの帽子。まだまだ相棒は止めへんでと言われたみたいでした。
 事務所の方々、ありがとうございました。うれしい思い出が出来た滝道。これからもお世話になります。

 それから、ボランティアの方が写真のようなプレートを主だった木に付けてくださっていました。
 このQRコードから、木の名前と説明が出てきます。
 私が最も欲しかったものです。
 これがあれば、木ともっと親しくなれます。本当にありがとうございます。

 帰り道、もう駅が見えてきたあたりで、望遠レンズを大きな木の上の方に向けてる男性と出会いました。
 栴檀の木です。私も写真を撮ろうと近づいて、お尋ねしてみました。
 「大きな栴檀ですね。花を撮られているのですか?」
 「まだ、咲いてないですね。望遠レンズでようやく上の方の花を一房という感じ。来週あたりですかね」

 そっかぁ。来週か。また来ます。

 そうそう、滝の上に現れた水の量は今日来てよかったと思わせる力強さで落ちていたことは言うまでもありません。