「万博だより」に”観蓮会“のお知らせが載る頃になりました。
一昨年、昨年とコロナ禍のため、早朝の観蓮会は中止となりましたので、再開が待たれます。
蓮を愛でるには、なんといっても早朝の朝露に輝く時間帯がよろしいそうで、味わったことのない清らかな時間を一度は体験してみたいと思って、今からそわそわし始めているわけです。
日常、私達が食すものには効能があることが明らかになって、やれ、タンパク質やビタミンやと喧しいことです。
レンコン(蓮根)はどんな働きを持つかご存知でしょうか。
びっくりすることに、あんなに堅いのに「胃腸を丈夫に」するムチンを含みます。
また、カリウムも豊富で、利尿効果もあることから、熱中症対策にも生かせる食材です。
更に、生薬として利用される蓮は、花、葉、茎、節、種、蕊など、全ての部分が効能を持ち、この植物の強い生命力を物語っています。
大賀蓮という縄文時代の化石が花開いたことは、種子が千年以上いのちを保持した証です。
湿度と熱に侵される季節に役立つのが蓮茶です。
水辺に逞しく育つ姿から、効能を見つけられた生薬はいくつかあります。泥の中にありながら、水に侵されない蓮もその一つではないかと思っています。
夏の熱を溜めた体から、余分な熱をオシッコとして体外に出してくれますし、余分な熱がなくなれば、安眠につながります。
初めはその独特な香りに戸惑うかもしれませんが、このお茶を飲めばタイやベトナムへの旅情が高まること請け合いです。
『漢文で知る中国』(加藤徹著)に、
「蓮、花之君子者也」(蓮は花の君子なるもの)
という北宋の周敦頤(1017~1073)の言葉が載っています。
中国で愛された花を三種類の人の生き方に喩えた随筆だそうです。
「菊」は晩秋に咲く隠者の花であり、艶やかな「牡丹」は富貴の象徴である。その点、「蓮」の清らかで媚びない姿が君子に似て、私は好きだ。
道徳を備えた君子の風格を持つ蓮が咲き誇る時代であってほしいと願いを膨らませていたら、どうしたことか、蓮池の周りを歩かれているお釈迦様の姿が思い浮かんだことです。