こころあそびの記

日常に小さな感動を

肥後花菖蒲


 肥後細川庭園のガイドツアーは、「先週の『ブラタモリ』をごらんになりましたか?今日解説くださるのは、出演されていた鈴木先生です」という言葉で始まりました。
 あいにく、見てなかったのですが、さすがにお殿様のお世話は一流人がなさるものと、期待で胸弾みました。
 
 スタートは庭園に入る門のところに咲いていた菩提樹の花の解説からです。
 六月に咲く花とはいえ、2,3日前には咲いていなかったそうで、しかも一週間ももたないと聞けば、今日、来られた幸運を感謝するばかりでした。
 菩提樹の花がこんなに香るとは知りませんでした。俯いて咲く花に蜂が群がって密集めをしています。


 菩提樹といえば、お釈迦様がその木の根元で悟りを開かれたことで有名です。
 でも厳密には、このインドボダイジュはクワ科で、今、日本に植わっているシナノキ科とは違うようです。いいんです。細かいことは植物学者の先生におまかせして、この芳しい香りを嗅がさていただきましょう。
 嗅いでいると、お釈迦様が悟りを開くために、大いに貢献した香りであることがなんとなく分かるように思えました。


 横道に逸れますが、1964年発売の『リンデンバウムの歌』を覚えておられる方はもうおられませんよね。私は梓みちよさんのこの歌が好きでした。ハスキーボイスでありながら正確な歌唱でした。調べたら、なんと岩谷時子作詞、山本直純作曲だったのですね。
 美しいメロディーとせつない歌詞がマッチした名曲でした。
 


 庭園は、花菖蒲の第一陣が咲いていました。
 「みなさん、これだけは今日覚えて帰ってください」と鈴木先生が教えてくださったのが、「あやめ」、「かきつばた」、「ハナショウブ」の見分け方です。
 「アヤメ」は花びらに綾目模様があって、水中には咲かない種類。
 「カキツバタ」は水草で、水深15センチくらいのところに咲きます。葉の幅は広くぺたんこです。
 「ハナショウブ」は湿地でも丘でも咲きます。葉が特徴的で、真ん中に1本筋が見られます。
 と、聞いたから直ぐに見分けられるものでもありませんが、これからじっくり観察してみたいと思いました。

 この日のツアーのメインは「肥後花菖蒲」です。
 花菖蒲は菖翁と異名をとった松平定朝がコレクターとなって江戸花菖蒲の元を作ったそうです。その一部を細川藩が譲り受けて肥後花菖蒲として改良を重ねて、ぷっくらした花菖蒲を作り上げたとのこと。
 細川庭園は、季節ごとに楽しめるお庭ですが、誇れるものとして花菖蒲があるようです。

 青空の映る庭園の池の周りを歩いていると、ついついお殿様が過ごされていた空間にいるような気分になってきます。
 時空を超える感覚が持てるのは、歴史が埋まっているからかもしれません。