我が家のクチナシが今季初めて花開きました。あたりは甘い匂いに満ちています。
実は、まともに蕾まで行き着いたのは久しぶりです。
この木が好きなオオスカシバという蛾の住処となってしまっていました。その美しい造形美は神様からの贈り物としか表現できないくらいものでした。飛び方も可愛いのです。
惚れ込んだ娘が越冬にチャレンジしたのですが、途中で挫折したのは残念なことでした。
今年は2月というへんな時期に剪定してもらったので、ひょっとすると彼らのいのちを奪ったのかもしれない。それが申し訳なく、花咲いた喜びにも、匂いにも浸りきれない気持ちが拭えません。
蛾をたてれば木が傷み、木を守るとなれば蛾の住処がなくなる。
過酷な現実を乗り越えなければ、生物の共生という理想は実現できないことを、こんな小さな生態系においても見せつけられました。
隠元豆の花です
クチナシはお正月に栗きんとんの色素として使われる他、漢方薬としても使います。
山梔子とも書いて、性味は苦、寒です。
体に余分に溜まった熱をとり、湿を乾かしてくれます。
胸苦しい、不眠、排尿痛、解毒などに応用。
ただし、長期間服用すれば、胃腸を損じることは「寒」で冷やす、「苦」で乾かすという理由からお分かりいただけるかと思います。
興膳宏著『漢語日暦』の中の6月18日に「梔子」が載っています。
「中国では古くから詩の題材になっている。唐の韓 愈の詩「山石」に、『堂にのぼり階(きざはし)に坐せば新雨足り、芭蕉は葉大いにして支子は肥ゆ』とあり、唐代にはすでに庭園に栽培されていたらしい。」
クチナシの花は直ぐに朽ちて茶変してしまうのに、強い香りだけが消えることなく匂います。
雨の季節に尖って咲く白い花。
どこか自己主張気味とおっしゃる興膳先生のご意見も分かるように思います。