こころあそびの記

日常に小さな感動を

カラスのこと

 出かけようと外に出たら、娘が大きな声で「しっ!しっ!」と手を叩いていました。
 「きゃー、猫と思ったらカラスやった。見てよ!あそこ」と指差す方をみたら、隣の屋根の上で、大きく嘴を開けて何かを食べているシルエットが。
 もう、そろそろ収穫どきだと思った時にかっさらわれたのは、真っ赤に熟したミニトマトでした。
 写真にあるように、枝の込み入った奥に実ったトマトだから、取られることはないと気を許したことが、カラスの思う壺だったのです。
 小玉すいかが丸ごと朝の畑から消えた時には、夜中に泥棒が入ったかと疑ったこともありました。
 犯人はいつもカラスです。
 いい具合に熟したときに持って行かれてしまうのです。どうして分かるんだろう。

 今朝、タイミングよく、ラジオから「今日のゲストは動物行動学者の松原始さんです。カラスの研究をされています」と流れてきたので、お知恵拝借とばかり聞き耳をたてました。
 残念ながら、美味しいときに横取りされるのを防ぐ方法はなさそうでした。
 農家の方々も、カラスより早く収穫しようとした矢先に、カラスに先を越されるそうです。
 収穫どき、食べどきが分かるカラスは頭がいいとしか云いようがありません。
 それも、嗅覚ではなく視覚で判別しているといいます。失敗から学ぶ力があるから、黄色のゴミ袋なんてとっくに見破られているのだとか。

 しかし、ただの怖いだけの鳥ではないことを教わりました。
 カラスは生涯、同じ相手とペアを組んでいるそうで、先生は死んだ相手の横に寄り添って鳴くカラスも見たことがあるとおっしゃっています。
 パートナーを大切に思う感情を有していることが分かります。
 
 それから、頭をつつかれた経験を持つ人がおられます。襲ってくるのは、大概、繁殖期の親で近くに子育て中の巣があるときだそうですよ。そうでないカラスは襲ってくることはない。襲われたくなければ、その場を離れるのがベストだそうです。

 夫婦の情愛が深く、親子の愛はどこまでも熱い。
 怖そうに見えるのに、自然界で生存するためには優しさが必要と教えているようです。今、人間が彼らから学ぶべき大切なことです。
 

 昔は鳥はバカだと思われていたそうですが、なんのなんの、その説を打ち砕く先鞭をつけたのはカラスです。人間との知恵比べにことごとく勝利しています。
 いまでは、研究が進んで、四十雀も敵の接近を知らせ合っていることが分かっていますし、植物同士が会話し合っていることも周知のこととなりました。
 人間だけが他言語の習得ににあくせくしているなんて、鳥たちに笑われそうです。

 「カラス なぜなくの♪ カラスの勝手でしょ♪」。笑い転げた日々が懐かしいですね。