こころあそびの記

日常に小さな感動を

眩しい朝に


 「今日も暑くなります。熱中症に気をつけて過ごしましょう」と連呼するテレビに目と耳を貸さなければ、夏の朝は美しいものです。
 光がどの季節よりも多いから、朝の空も山も輝いて見えます。
 さぁ、今日もがんばろうという気を削がないでほしいなぁ。
 気持ちいいです。と伝えたら、人は、そうなんだと思い込むものですから。どうか、人に優しい報道をと願います。
 それでなくとも、この2、3年、人の心は緊張を余儀なくされているのです。さらに追い討ちをかけたら、どんな事態になることか。
 自衛手段はマスコミを絶つことです。こころの治療法です。自由でよいのです。自由に好きなことしましょう。

 というわけで、いつものことながら、またまた興味あるところへ遊びに行ってきました。

 今回のお目当ては、俳人坪内稔典先生に拝顔することです。
 産経新聞の連載エッセイのファンをきどっていましたが、ある時、箕面で「ことばカフェ」が開催されると載りました。
 これは、是非とも参加したいと申し出たら、了解をいただいたというわけです。
 厚かましいことです。

 白髪の先生のお召し物はトレードマークのカバが書かれた黒地のTシャツでしたので、緊張は直ぐに解けました。


 初回ということで、「名前」の話から始まりました。
 紹介で終わらないところが、「言葉」に拘る方々です。
 ミーハーの私をくすぐったのは、先生が幼い頃の話です。
 「稔典くん。(典という字を指して)君は将来、言葉に関わる仕事に付けばうまく行くよ」と担任の先生に云われたことがあるそうで、子供心に引っかかって今に至ったとおっしゃっていました。

 日頃、この子にどんな言葉をかけてやればいいかと思うものですが、つい目先のことをアドバイスしてしまうものです。
 でも、本当は、ずっと先に自分で道を選択するときの道標を、そっとしのばせて持たせてやる言葉がその子を生かせるのだと、感激してメモを取りました。

 茨木のり子さんの詩がたたき台でした。
 ほぼ同じ時代を生きた田辺聖子さんとはこんなに違うのかという思いがしました。
 同じ時代の空気を吸っても、生育環境が大きな違いを生むことを知らしめています。
 田辺聖子さんは文系お嬢さん。片や、茨木のり子さんは理系女史。
 世の中の見方もこんなに違うのですね。
 
 とことん美しいものに憧れる理系と、限りない優しさを表現する文系。
 才能ある人というのは、自分を開花させる執念があると言い換えることができるように思います。
 でもね、”どっちつかず“もいいものですよ。ええなぁと思う気持ちだけで、満たされてしまうキャパもええなぁと思うわけです。