こころあそびの記

日常に小さな感動を

『推し、燃ゆ』推し。

 作物は収穫に最適な時期というのがあるのはわかっていましたが、素人の浅ましさで、もうちょっと後少しとおいてました。   
 いよいよ、今日は自給自足を気取ってみようと、抜いてみたら、土の上に見えている肩は立派だったのに、中でこんなにねじれていました。
 農家の方は、なぜこんなことを事もなげにできるのかといつも感心させられます。
 まるで、種を蒔いたら必ずできるみたいに思わせる魔法使いとしか思えません。
 その魔法の正体は、たえず畑を見回り作物に愛情を注ぐことにつきるのでしょうね。
 まっいいか、不細工でも少々堅くても、今夜のおかずに大根の煮物を一品加えることができるから、ありがたいことです。

 先日の坪内稔典さんの講座で、名前の話が出たことは紹介いたしました。
 自分の番が回ってきたとき、とっさに長い間忘れていたことを思い出してペラペラしゃべり出したことに自分でも驚きました。
 人の記憶はなかなか消えないものなのか、それとも昔のことのほうが思い出しやすい年齢になった証拠なのか。
 私の年代なら、他にもいらっしゃることかと思いますが、実は、名前を2つもって生きていました。
 マイナンバーカードを普及させて、全ての人にナンバリングしようなんて、誰も考えもしなかった時代でした。
 すべては届けに行った先で手書き申告すればよいのですから、こんなことがまかり通ったわけです。
 学校ではRという名前、保険証はMという名前で小学校卒業まで通用しました。
 嘘みたいでしょ。
 R子は母方のおばあちゃんの案。M子は父の案だったそうです。
 なんだ、そんな頃から父母には距離があったのかと思います。
 

 近頃、宇佐見りんさんという女子大生が芥川賞を受賞されました。こんなかわいいお嬢さんがどうしてまぁ小説家になられたのかというのが感想です。
 今や、パソコンやスマートホンで小説が書ける時代。 ロイド眼鏡で部屋に籠もって原稿用紙に書きなぐる時代は確実に過ぎたことを実感しました。

 授賞式では山田詠美さんが感動的なスピーチをされまして、その中に体験値が大きい人だと評される場面がありました。

 彼女は今後の作品できっと親との体験談を書いてくださるだろうし、「それが書くということだと思っている」と話されています。
 それが、私にはとてつもなく楽しみです。現役女子大生が、とっくに生育時期を通過してそのことを小説にしようとされている。
 あの年頃、私は何をしていただろう。もう逃げるのはよしにしなくてはと、すっかり彼女を応援する『推し、燃ゆ』軍団の一人になっています。