「冬虫夏草」をご存知でしょうか。
何年か前に脅威の記録叩き出した中国の馬軍団が服用していたことで、一躍有名になった漢方薬です。
中国では、チベットの3000mの高地で採集してきたようですが、乱獲により、偽物が横行し、今や、本物を入手するのは困難になってしまったようです。
だから、冬虫夏草は中国の専売特許の感が強く、まさか、日本国内にそれがあることなど考えたこともありませんでした。
ところが、探せばあるのですね。
決して、大きな声では申せませんが確かに本物が実在するのです。
ご覧になったらば、「なに、これ?」と思われる奇妙な形。
しかも、そこに繰り広げられた壮絶で残酷極まりない生と死のドラマ。長い歴史を生き抜いてきたいのちの営みが、見る者に訴えかけるものは限りないものです。
冬虫というわけですが、そのときすでに宿主となる虫は、バッカク菌に命を乗っ取られています。虫のいのちを吸い取って伸びるのが夏草といわれる部分です。ここまでは、地下で行われています。
そして、春から夏にかけて胞子を飛散させるために、ちょこっと地上に出た先端は小指より細くて、よほどの達人でなければ見えません。
なぜ、そんなものが珍重されるのか。それは免疫増強作用があり、秦の始皇帝も美貌の楊貴妃も愛用したと伝わっています。
さて、昨日、採集に成功されているお二人にお話を伺いました。
「私は、旅行中に車を走らせていても、ここ!と車を停めたい思いに駆られる時があります。なんとなくありそうに感じるのです」と、達人の目は少年そのものの輝きです。
「山は2、3年も歩くと、分かってくることがあります。例えば水の流れる道筋です。水の道が見えてきたら、冬虫夏草の在り方もわかります」とも話されました。
老子に学ぶまでもなく、水が自由であることを自分の足と目で悟られていることに、敬服してしまいました。
いのちの極意をご存知のお二人でした。
いつか、そこまで到達するためには、地球がワンダーランドであり、世界は不思議で満ちているという敬意を持つことが第一歩です。
お話くださったお二方がお元気なのは、自然への畏敬の念を忘れないからだと思われます。
まさに、冬虫夏草の精からいのちを分けてもらっておられるのです。それは、純粋な心を持った人だけに与えられるものでありましょう。